思い通りにならない我が子を罵倒しながら、そんな自分が悲しくなる。そういう経験ありませんか。我が子の幸せを誰よりも願い、子どもの将来のためを思い、物事を必死に教え込もうとしますが、子どもはそれを喜ばないし、言う通りに動こうともしません。

「子どもは母親自身ではありません。母親とは全く別の人間です。その子はその子なりの適性を持って生まれてきていて、その適性に沿って生きるのがその子が幸せになる最も確実な方法です。

親は自分の中にある知識やルールを子どもに教え込むことに一生懸命になりがちですが、実は親にしかできないことは子どもの心を耕すこと。そうすれば母親自身もそんなに大変な思いをしなくてもいいのです」

そう話すのは、 モラハラ対策カウンセラーとしてさまざまな方の相談にあたるJoe(ジョー)さん。相談者の中には家庭や職場でモラハラ被害に遭っている人、どこに行ってもいじめのターゲットになってしまう人、ただ生きているだけでつらいという人が少なくなく、そういう人の大半が実は幼少期の育ちに問題を抱えているといいます。

「幼少期に継続的に経験する過酷な環境は、その人の生涯にさまざまな悪影響を及ぼし、子どもを持った後にも過酷な形で現れます。そこでそういう母親たちの相談に乗る中でこういう人たちに向けた本が必要だなと思いました」

そうして書かれたのが『「「私、子育て向いてないかも」がラクになる本』です。 現在、子育てに追い詰められている方や理想の育児を追いすぎて、ことごとく裏目に出ている方、自らが機能不全家庭で育ったために、子育てのやり方がわからないという方に向けられた書籍です。

強い母、優しい母よりも“カッコいい母親”がいい理由

子どもの育て方に迷いがある場合、そうした状況を改善するポイントはまずは母親がラクになること。これによって子育てもうまく回り始めます。

その一つが、お互いに心地の良い母親像を持つということが挙げられます。Joe(ジョー)さんが提案するのは“カッコいい母親”です。

「“強い母親”だと怖くて萎縮してしまうかもしれませんし、“優しい母親”だと弱すぎて頼れない。“尊敬できる母親”だと壁がありすぎます。“毅然とした母親”だと冷た過ぎるかもしれません。

ところが“カッコいい”母親というのはどうでしょう。強さと優しさのバランスが取れていて、子どもから見て自分もそうなりたいと思うような憧れの人間像に映ります。あなた自身も自分が“カッコいい母親”と捉えるだけで気分も上がるし、誇り高い気持ちになれるはずです」

出典(「私、子育て向いてないかも」がラクになる本)

「カッコいい母親」三原則

子どもの心を耕す「カッコいい母親」になるためにはどうすれば良いのでしょうか。

子どもの前で次の三原則を意識して振る舞えば、誰でも「カッコいい母親」に近づきます。

1:親子の立場を逆転させない

「子どもというのは“自分よりも強い存在”だと思っている親から優しくされてこそ、その優しさを“愛情”だと認識します。だから、母親は優しさだけではなく、時に子どもに嫌われることを恐れない厳しさや強さを示す必要があるのです」

出典(「私、子育て向いてないかも」がラクになる本)

いつも言いなりになる優しいだけの母親は「自分より下のものだ」と認識されて、どんなに愛情を注いでも、その子どもの心を耕すことはできなくなります。

母親の強さが子どもの心を耕すのです。