日本を代表するアーティストたちが結集して全国を縦断する「クラシック・キャラバン2022~クラシック音楽が世界をつなぐ~」が、昨年に続いて開催される。9月から12月まで全国13地域で21公演。都内で発表会見があり、出演者代表の田中祐子(指揮)、仲道郁代(ピアノ)、福井敬(テノール)と、「プロジェクト・アンバサダー」に任命された俳優・宮崎美子らが出席した。

オーケストラや合唱も出演する、大ホール向けの「華麗なるガラ・コンサート」と、室内楽アンサンブルが中心となる小ホール向けの「煌めくガラ・コンサート」で構成されるが、それぞれの内容は公演ごとにヴァリエーション豊か。各音楽事業者が手を携えて、オリジナリティ溢れる公演が各地で繰り広げられる。
「昨年、地元・愛知での公演を両親と一緒に客席で聴いた感動は言葉にできない。家族や友人をコロナで失った方もいて、いろいろなことを忘れることはできないかもしれないが、その瞬間だけは、お客様、出演者、スタッフとともに集中して音楽に没頭したい」(田中)
「昨年今年とクラシック業界をあげてこれだけのことをして、では私たちが来年どう歩んでいくのかということも考えなければ。華やかな公演の次に、世の中にとってクラシック音楽が本当の意味で何なのかを提示すること、それを全員で考える機会になればいい」(仲道)
「音楽界のオールスター戦が北海道から沖縄まで全国で。これをずっと、社会とコラボレーションしながら続けて行けたら、最高に素晴らしい芸術的なエンタテインメントが出来上がっていくだろうと期待している」(福井)
「日頃クラシックになじみのない方にもアピールして、幅広い層の皆さんに足を運んでいただけるように発信するお手伝いする役割。責任は重いと思っている。音楽との初めての出会いが幸せなものになりますように」(宮崎)

文化庁が支援する、コロナ禍からの文化芸術活動再興事業。聴衆のためであるのはもちろんだが、コロナ禍で窮地に立たされた演奏家や関係スタッフに仕事の機会を創出する目的もある。昨年の全国のクラシック公演数は、コロナ前の2019年比85%と回復傾向にあるものの、集客数は、なんと同35~40%と落ち込んだまま。ここはわれわれ音楽ファンも手を取り合って、再興の輪に加わりたいところだ。豪華な「饗演」に身を委ねることでそれができ、耳と心の消毒にもなるのだから、言うことはない。
(宮本明)