ミュージカル『シンデレラストーリー』が9月6日(火)から東京・日本青年館ホールで開幕する。
本作は、『シンデレラ』を子どもから大人まで楽しめるようにと鴻上尚史が書き下ろし、2003年にシンデレラ役に大塚千弘、王子役に井上芳雄のコンビで初演、その2年後に王子役を浦井健治が引き継いで再演された。17年ぶりの上演となる今回、シンデレラ役を加藤梨里香と水嶋凜がWキャストで演じ、王子役を大野拓朗が演じる。
初日を前にした5日、公開ゲネプロと記者会見が行われた。
シンデレラ役の加藤は「緊張やワクワク、いろいろな思いがありますが、気難しい現実も忘れるくらい、華やかで素敵な世界観になっています。早く皆様にお届けしたい気持ちでいっぱいです」と意気込む。一方、同じくシンデレラ役を演じ、本作が初舞台・初主演となる水嶋は「いろいろなことが重なりすぎて、よく分からない感情」としつつも、「全部が組みあわさったら、こんなに華やかになるんだということに気がついて。私も早く観たいですし、みなさんに本当に観てほしい」。
王子役の大野は「僕もたくさんの笑いと感動に包まれる空間を楽しめたら。『あの王子様と結ばれてよかったね』と思ってもらえる、素敵な王子様を演じられるように頑張りたい」とコメント。義母のベラドンナを演じる佐藤アツヒロは、役のオファーについて「驚きました」というが、「演劇をやってきて、こんな幸せなことはないです」と話す。
魔法使い役を演じるアン ミカは、今回が初めての舞台出演。「50歳の新人ですからね。皆さんのリハーサルを見て、(技を)盗ませていただきました」などと話しつつ、「(演じる魔法使いが)自分の地に近いところがあって。気持ちは楽ですね」。本作の見どころについては「閉塞感がある世の中で、芸能界でもさまざまな人間模様がありますけど......人間って、悪いものもやきもちも含めてお茶目やなって思える。登場人物それぞれ愛することができて、思い切り笑いに昇華できる。人生ってええなと思ってもらえるミュージカル」とした。
童話の『シンデレラ』の大筋は変えることなく、「魔法が解けたのになぜガラスの靴だけは残ったのか」、「なぜ家事ばかりしていたシンデレラが華麗なダンスを踊れたのか」といった現実的な疑問にもコメディタッチに回答していくミュージカル。加藤のシンデレラ、大野の王子は安定感があり、眩しいほど純粋な王道ラブストーリーを見せてくれたが、そのほか王様(吉野圭吾)や王妃(彩吹真央)、義姉オードリー(ゆいP)、義妹ジェシカ(まりゑ)ら脇を固めるキャストも遊び心満載。観劇後はきっと元気をもらえるだろう。ぜひお見逃しなく!
演出はウォーリー木下。東京公演は9月19日(月・祝)まで。その後、愛知(9月24日、25日/東海市芸術劇場大ホール)、福岡(10月1日、2日/キャナルシティ劇場)、大阪(10月7日~10日、梅田芸術劇場メインホール)を巡回予定。
取材・文・撮影:五月女菜穂