カメラマン:五月女菜穂

朗読ミュージカル『8000mの愛』が2022年9月17日(土)、18日(日)、東京・ニッショーホール(旧ヤクルトホール)で上演される。

ときは1991年。エベレスト登頂を目指している登山家2人。頂上まであとわずかというところで、バディであり、親友が目の前で滑落してしまう。残された風間孝は凍傷で現地の病院で治療しながら、彼の妹の樋口杏子に居たたまれない思いで手紙を書く。兄の死にショックを受けながらも、密かに想いを抱いていた孝の無事に安堵した杏子。手紙のやり取りを続け、二人はやがて結婚をしてーー。

今回、杏子役を演じるのは、演歌歌手の丘みどり。自身初めての演技となるが、「小さい頃からミュージカルが大好きで、前からお芝居をしてみたいという気持ちがずっとありました。夢が叶いました」と出演を素直に喜ぶ。

丘は、歌を歌うときに一度「寝かせる」ことを大切にしているといい、「レコーディング前は、ちょっと期間を置いて、何もしない期間を作っています。そうするとまた新鮮な気持ちで、客観的に物を見ることができる。今回の朗読劇でも、脚本を読み込んだ後に“寝かせる”時間をとってみようかなと思います」と独自の方法論を話していた。

本作では17日に坂元健児、18日に原田優一が出演し、相手役が日替わりとなる。丘は「どちらも第一線のプロなので、足を引っ張らないようにしなくては」と話す。それに対して、脚本と演出を手がける友澤晃一(T1project代表)は「一つの役に入り込むと言っても、その本人が生きてきた物の考え方や感じ方がにじみ出てくるもの。丘さん自身でやってもらえれば、スーッと役が生きると思う」とアドバイス。その上で「相手によっていろいろな違う感情が生まれてくる。タイプの違う相手役と芝居をすることは、俳優としていい経験になると思う」とも話した

丘は、今後演技の世界にも精力的に挑戦していきたいという。その理由は「ドロドロした感情や怖い役などに興味があります。実生活では経験したくないけど、お芝居の中で、自分がそのときどんな感情になるのかを知ってみたいから」。

そのチャレンジの一歩となる本作。丘は「みなさんの心にグッと刺さるような劇が見せられると思うので、ぜひ足を運んでいただきたい」と話す。友澤も「自分の中の愛がもう一度活性化されるような物語。ぜひ生の声、生の音楽の波動を感じて欲しいと思います」と語った。

取材・文・撮影:五月女菜穂