
明治座×東宝×ヴィレッヂの男性プロデューサー三名が立ち上げた“三銃士企画”。第一弾は2020年、漫画家・岡野玲子の『両国花錦闘士』を舞台化。主演の原嘉孝を筆頭にカンパニーが一丸となって"相撲エンターテインメント”を熱演した。
第二弾は、大河ドラマ『鎌倉殿の13人』で畠山重忠を演じ、話題を呼んだ中川大志が登場。稀代の超悪党を描いたシェイクスピアの『リチャード三世』と昭和の歌謡界を掛け合わせた倉持裕作・演出による音楽劇『歌妖曲~中川大志之丞変化~』を上演する。醜い風貌と不遇な宿命を背負い、昭和の大衆芸能・歌謡界で悪逆の限りを尽くす「鳴尾定」が、美貌の歌手「桜木輝彦」となり歌謡界を席捲するも、やがて破滅の道へと突き進む…。
本格的な舞台に初挑戦かつ初主演の中川は「昭和の歌手は、その方が背負っているものや辿ってきた人生など、バックボーンもひっくるめて音楽にエネルギーが乗っている印象があります。だからこそステージに立っている姿がかっこいい。この作品では、鳴尾定として過ごしてきた時間、見てきた景色が桜木輝彦になったときにどう出力されるのか。桜木から定が見え隠れする部分を大事にして、お客さんにもそこを感じてもらいたい。歌唱もあるので、そういうふうに歌えるように目指したい」と意気込む。
芸能界を牛耳る鳴尾プロダクションに怨恨を抱くレコード会社の社長、蘭丸杏を演じる松井玲奈は、「復讐するために定と手を組んで暗躍する、ちょっと狡猾な女性」とその人物像を話す。昭和という時代のイメージを尋ねると、「ヴィヴィッドな色が多かったり、アクセサリーも大振りだったり、ファッションがとても素敵で。当時の映像や写真を見ると、みんなおしゃれを楽しんでいる感じがします。この作品でも昭和のお洋服を着させていただけるので、とても楽しみです」と待ち遠しい様子。
鳴尾プロのフィクサーである男・大松盛男役の山内圭哉は、「この役も昭和らしい設定。昭和を知っている方には“おった、おった、こんなやつ”と思っていただければ。知らない世代にはある種のリアリズムを持って帰ってもらいたい」と話す。そして「そもそもシェイクスピアは当時のゴシップネタを本にして街の人たちに見せていただけに、高尚ではないですし、むしろ馴染みやすいエンターテインメント。今作もそれぐらいエンタメな作品を創っていければ」と意欲を見せた。
公演は11月6日(日)から30日(水)まで東京・明治座、12月8日(木)から12日(月)まで福岡・キャナルシティ劇場、12月17日(土)から25日(日)まで、大阪・新歌舞伎座にて上演。東京、福岡公演のチケットは発売中、大阪公演のチケットは10月23日(日)一般発売。チケットぴあでは9月29日(木)から10月18日(火)まで、プレリザーブ実施。
取材・文:岩本