日本全国のプロ・オーケストラからコンサートマスターや首席奏者を中心に編成されたジャパン・ヴィルトゥオーゾ・シンフォニー・オーケストラ〔JVSO〕。その第11回兵庫公演「名手たちの交響楽団 ニューイヤーコンサート」が、2023年1月4日(水)に行われる。
「ジャパン・ヴィルトゥオーゾ・シンフォニー・オーケストラ 第11回兵庫公演 名手たちの交響楽団 ニューイヤーコンサート」チケット情報
JVSOは日本のオーケストラが、今どれだけの音を創り出せるかという可能性を求めて作曲家、プロデューサーの三枝成彰と指揮者の大友直人が1991年に試演。以来、東京・名古屋・大阪で定期的に公演を重ねてきた。2012年からは三枝の出身地である兵庫県でニューイヤー公演として開催。クラシック音楽本来の魅力を追求する一方で、阪神淡路大震災や、同じ震災の記憶から東日本大震災の被災者に寄り添ったプログラムなども取り上げ、京阪神を中心に多くの熱心な観客を獲得している。今回はコンサートマスター7名、首席奏者34名に副首席、フォアシュピーラーを含む59名という編成でモーツァルトの最後にして最大の交響曲、第41番「ジュピター」やメンデルスゾーンが陽光降り注ぐイタリアの印象を描いた交響曲第4番「イタリア」といったプログラムを届けてゆく。
本公演で聴き逃せないのが、ソリストとして登場するヴァイオリンのHIMARIだ。2011年生まれの11歳、3歳からヴァイオリンを始め、国内外42のコンクールで第1位に輝いた逸材である。2021年9月には、ポーランド(ルブリン)で3年に1度開催される「第15回リピンスキ・ヴィエニャフスキ国際ヴァイオリンコンクール2021」で史上最年少、特賞グランプリ(第1位を上回る)を受賞。現在は慶應義塾幼稚舎5年生に在籍する傍ら、フィラデルフィアの名門カーティス音楽院に学んでいる。すでに国内外の主要なオーケストラと共演を重ねており、今回はヴィエニヤフスキのヴァイオリン協奏曲第1番より第1楽章を演奏する。
ピアニストの奥井紫麻やチェロの北村陽など、JVSOのステージでは多くの若い才能を紹介してきた。三枝成彰はかつてこのことに触れて、演奏家の一番フレッシュな瞬間を聴いてもらいたいと語ったことがある。「もちろん音楽的にはもっともっと深くなっていく演奏家もいます。しかし10代で才能を発揮している人たちには、やはりこの時期にしかない新鮮な輝きがある。それを聴くことは私たちにとって、希望のひとつだと思います」。その希望に満ちた音色を、この春、名手たちの響きとともに体感したい。
文:逢坂聖也