――公称容量は正確なのか?
「大容量の割に価格が安いモバイルバッテリーはまず不正確だと考えた方が良い。出力回路がやはり手抜きだから、電力が熱に変わる損失、言い換えれば発熱ばかりして、ほとんど充電に電力が回されないというものもある。特にいわいるバッタ物(この記事では粗悪品の意味)は書いてある容量の40%くらいしか使えないモノも、実は売っている。
さすがに国産メーカーではそれはないが、国産メーカーでも書いてある容量の80%くらいでも使えれば、まあ合格といえるのではないかな。ともかく充電時や放電時に熱くなる電池ほど、熱に電力が変換されてしまっているわけだから、ダメな電池といえるかもしれない」
なんとも、40%しか使えないとすれば、10000mAhでも実際は4000mAhしか使用できないことになります。
ここでポイントは、熱くなる電池はダメだということ。記事『要注意! 電池を余計に消耗させてしまう“NGな使い方”7』[ https://ure.pia.co.jp/articles/-/16386 ] でも書いたが、リチウムイオン電池は熱に弱い特性があります。暑い部屋で充電して電池が劣化した例もあるくらい、熱にシビアなのです。
また大きさも問題です。大容量・大型のバッテリーは必然的に持ち運びに不便になります。スマホをかばんに入れて充電する人は、大型のものでも問題ありませんが、ポケットにいれる場合は、ある程度薄型でスマホと同じくらいのサイズでないと、ポケットの中で邪魔になるだけになってしまいます。
それを防ぐためには、モバイルバッテリーを使い分ける必要があります。筆者は半日外出用に1300mAh、1日フルで多用するときには6000mAh、旅行時は12000mAhのモバイルバッテリーをと、用途に応じて使い分けています。
ダメダメな選び方2.粗悪品をつかんでしまう
絶対につかみたくないのが、ダメダメ1で出てきた粗悪品。これを見極めるポイントをA氏は
「まずPSEマーク(日本で流通する電気用品安全法規格遵守の電気用品に付けられる)がついているか、しっかり実物を見て確かめる。ただ気をつけたいのが、悪徳業者だと、本当はPSEマークから外れているものでも、ろくに検査もしないでプリントして付けてしまう事もあるということだね。
まあ規格外だからPSEマークを付けない業者がまだ良心的というのも皮肉な話だけど、電池なのに、◇にPSEのマークがついていたら、間違いなく粗悪品だね。リチウムイオン電池には〇にPSEをつけるのが正解。そんなこともわかっていないメーカーは間違いなくバッタ物しか作らない。いや作れない。」
なるほど、よく製品の信頼性を謳い文句にしている宣伝で、ECサイト等では「PSEマーク付き」と宣伝しているものもありますね。このマークが正しく〇にPSEになっているかどうかも見極めポイントといえるでしょう。
「あとは容量表記の割に妙に他の製品と比べて小型だったり薄型だったり、あるいは妙に軽かったりしたら、少し疑った方が良いね。薄型だったら当然面積は大きくなるし、小型の場合は厚みが増す。今のリチウムイオン電池はこれ以上軽くできないし、小型にできないレベルにあるから、いわゆる体積が他のモノより少ないことはあり得ない。内蔵する電池容量を削る以外にはね…」
よくありますね。妙に小型なのに、高密度、大容量!と謳っているモバイルバッテリー。実際これらのバッテリーはA氏によれば、容量表記が誇大広告になっている事が多いそうです。
しかし値段は容量が大きいほど比例して高くなるので、利益面からみると、販売店にとってみれば、「オイシイ商品」だそうです。もちろん実名はあげられませんが、粗悪品が多く並ぶのは、電気街で露天まで商品を並べて販売している店舗などが多いそうで…。