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 2003年からBS日テレで放送中の『BS日本・こころの歌』。若手声楽家たちによって結成された番組オリジナルの混声コーラスグループ「フォレスタ」も、活動20年を迎えた。アニバーサリーイヤーを飾るコンサートは、「名曲はジャンルの垣根を越える」というテーマそのままに、「荒城の月」などの唱歌・童謡や「なごり雪」「ブルー・シャトウ」など昭和の名曲、8月に発売したミニアルバム『君の道を』からのナンバーなど、盛りだくさんの内容。メンバーの内海万里子も、「定番曲もありつつ新しく挑戦する曲もたくさんあるので、私たち自身も楽しみ」だそう。まさにフォレスタの20年に及ぶ活動の集大成と言えるコンサートだ。
 フォレスタはこれまで、番組で膨大な量の楽曲を歌ってきた。その収録は長時間に渡り、横山慎吾は「笑顔になる楽しい曲を、いかにテンションを上げて歌いきることができるか。収録後の『やりきった』という安堵感はかなりのもの」だと打ち明ける。また、大野隆は「アニメを観て育った世代なので、ささきいさおさんの声も大好きですし、『宇宙戦艦ヤマト』や『銀河鉄道999』を自分で歌えることは非常に嬉しかった」そうだ。
この20年、全国各地でコンサートも開催してきた。小笠原優子は「その土地の食べ物や観光地は、コンサート中のお客様とのトークでふれる大切な話題。少しでも触れたり体験できたりするようなことがあれば、足を運ぶようにしています」と、地方ならではの工夫・楽しさを教えてくれた。メンバーによっては、お城巡りやラーメンの食べ歩きなども楽しんでいるとか。
改めて活動を振り返り、「特に歌謡曲や昭和歌謡は、お客様がリアルタイムで聴いてこられた曲だけに原曲のイメージが強い。とはいえ物真似にはならないように、でも原曲のイメージはあまり変えないように気をつけながら、譜面に忠実に、オーソドックスに歌う」という大野。名曲を歌い継いでいくための工夫が、そこにはある。
それは今回の結成20年コンサートでも、小笠原が「各々が自己紹介で1曲歌うコーナーは初挑戦の楽曲も多い」、内海が「定番曲はもう一度見直しつつ新しい曲では自分の可能性を見つけたい」と語る、内容の充実ぶりに表れているだろう。とはいえ、まったく堅苦しい内容ではない。横山も「肩の力を抜いて楽しんでいただければ」という。
 フォレスタの活動について、大野は「あらゆるジャンルの楽曲をマイクを用いて表現することは、音楽大学でいかに地声で声を遠くに飛ばすかを学んできた自分たちにとって、かなり難しいことです。常に勉強し、少しでも理想に近づけるようにしていきたい」と語る。今後してみたい活動を尋ねると、他アーティストとのコラボレーションやジャンル限定コンサート、小・中学生に歌の楽しさを知ってもらう学校公演、オリジナルオペラの制作と、アイデアは尽きないようだ。さらに幅広い活躍を期待しつつ、まずは年末のコンサートで彼らの歌声に酔いしれたい。
(取材・文:金井まゆみ)