現在の子育て世代が過ごした子ども時代に比べ、現在の子どもたちにとっては「中学受験」がごく一般的なものになりつつあります。
特に都心部などでは、学年のほとんどの子が中学受験をするという小学校も珍しくありません。
しかし、奔放な我が子の様子を見て「うちの子、中学受験できるのかな」と不安を抱く親も多いはず。そもそも、中学受験をすべきかどうかを悩む家庭も多いでしょう。
今回は、東洋経済オンライン連載「ぐんぐん伸びる子は何が違うのか?」で累計1.2億PVを叩き出し、「中学受験に合格する親子の「魔法の会話」」の著者である石田勝紀さんに、中学受験をするか否かの見極め方、場合によっては抱えてしまうリスクとその回避方法などについてお聞きしました。
中学受験の入り口では子どものタイプを見極めよう
——石田先生、本日はよろしくお願いします。最近は中学受験がごく一般的になり、我が子にも中学受験をさせようかどうか検討している親は多いですよね。
石田勝紀さん(以下、石田)「そうですね。中学受験をさせたほうが良いかどうか、どのようなスタイルで中学受験をさせるかについては、子どものタイプを見極めることが重要になります。
子どもには『早咲きタイプの子』と『遅咲きタイプの子』という2種類のタイプがあります。まず我が子がどちらのタイプなのかを判断しましょう」
——「早咲きタイプの子」とはどういったタイプの子どもなのでしょうか?
石田「早咲きタイプの子は、簡単にいえば“知的好奇心が強く思考が早熟な子”のことです。
もしも家庭で子どもから『小学校の勉強が簡単すぎてつまらない、授業が退屈』というような発言が聞かれるのであれば、早咲きタイプの子どもかもしれません。
このタイプの子どもは、中学受験に向かわせるとイキイキすることが多いですね。知的好奇心が強いので、親が無理に勉強をさせなくとも次々と難易度の高い課題を求めて勉強する傾向があります」
——早咲きタイプの子は他にどんな特徴がありますか?
石田「早咲きタイプの子は思考が早熟なだけあって、物事を俯瞰的に捉えることができるので抽象的、概念的な質問をしてくることが多いですね。
他の子が目の前にある対象物の色や形など具体的な質問ばかりをしてくるような時期から、すでに『どうして人間は生まれてきたの?』などの哲学的かつ抽象的な質問をしてくるような子です。
こういった子は、学習においても全体像を把握することが得意なため、勉強するポイントをつかむのも早いですね」
——このような早咲きタイプの子は割合としてどのくらいいるのでしょうか?
石田「実は、早咲きタイプの子というのは小学校のひとクラスに数人程度しかいません」
——そうなると、しっかりと中学受験に意識を向けられる子どもの割合に対して、中学受験を目指す家庭の割合は多すぎるように感じます。
石田「そうですね。ただ、中学受験と一口にいっても目的によって目指す学校はさまざまです。いわゆる難関といわれる中学もあれば、国際教育に力を入れている中学、IT教育を率先して行っている中学など学校により特色があります。
偏差値を重視した難関校への受験を考えれば早咲きタイプの子は有利でしょうが、学校の特色と子どもの性格などを突き合わせて学校選びをすれば、必ずしも早咲きタイプの子どもだけが中学受験において有利とも限りません。
現在、中学受験を検討している家庭は、偏差値のみを意識した受験よりもむしろ『より我が子に適した教育を』という観点で考えているところが割合として多い印象です」