ブラック企業という単語はすっかり世間に定着し、いまやブラック企業の中でも底辺にいるブラックホール企業まで登場する世の中に、ついに行政も指導に動き始めている状態です。

しかし世の中はブラック企業だけではなく、ホワイト企業ももちろん存在します。

今回は、ホワイト企業と社員が感じたエピソードを2つ語らせていただきます。

 

会社の夢より社員の夢

人材派遣会社A社は業界では珍しくほとんど離職率が0に近い会社で、なかでも社長のB氏はカリスマのある経営者で、B社長の下で働きたいという応募者もいるくらい業界で有名だが、大変厳しい人だった。しかし怒るときにも理由をしっかり説明するため、なぜ怒られているか納得でき、かえって怒られてスッキリするという社員も多い会社であった。

そのA社で2年ぶりの退職希望者が出た。入社4年目で営業成績もトップクラスのCさんである。Cさんは学生時代からプロのダンサーを目指していたが、ダンサーの職はなくA社に入社。そして入社以来、成績も良くB社長も将来有望ととらえていたホープだった。

しかしCさんはダンサーへの夢を諦めていなかった。A社の仕事は楽ではないがやり甲斐がある。悩んでいるところに、退職のうわさを聞いたB社長が面談した。

「辞めたいなら辞めなさい。辞めたい人間を私は止めない」冷たく話すB社長。尊敬していた社長も、辞める人間には冷酷なのだと思ったBさんは退職を決意して、退職手続も完了。そして退職日を迎えた。

人事から退職手続に必要な書類を受け取り、家路に向かうCさん。退職書類を確認していると、なにも書いていない封筒がはいっており、不思議に思いつつCさんは開封した。