ロシアを代表する作曲家セルゲイ・ラフマニノフの生誕150周年を記念して2月23日、20代の若手実力派音楽家たちを中心に2020年に結成され、話題を呼んでいるタクティカートオーケストラによるコンサートが開催される。指揮を任されたのは、こちらも若き俊英として国内外で活躍する坂入健司郎。「ピアノ協奏曲第2番 ハ短調作品18」のピアノには、22歳にして数々のオーケストラと共演を果たし注目を集めている吉見友貴が参加する。初共演となる坂入と吉見がコンサートへの意気込みを語ってくれた。

今回のプログラムについて坂入は「初期に作曲された『管弦楽のためのスケルツォ ニ短調』、誰もが知る代表曲『ピアノ協奏曲第2番 ハ短調作品18』、彼自身が”最後の作品になる“と語った『交響的舞曲 作品45』という、ラフマニノフの人生を追いかけるような面白いプログラムになっています」と語る。

「ピアノ協奏曲第2番」はフィギュアスケートの浅田真央がソチ五輪のフリープログラムで使用したことでも有名だが、吉見は「実は、僕もフィギュアスケートは大好きでして(笑)、2番を弾くたびに浅田真央さんが滑っている姿が浮かんできます」と明かす。吉見が師事するアレクサンダー・コルサンティアが旧ソビエトのジョージア出身ということで、ラフマニノフには特別な思い入れがあり「いつも『ラフマニノフの2番には、ロシア人の心の深さ、言葉にならない叫びが出ているんだ』と言っていました。フォルテ(強く)とフォルティッシモ(非常に強く)がありますが、彼に言わせるとフォルテのほうが重厚でロシア人の心が表現されているということで…」と吉見が語ると、坂入も「僕のロシア人の師匠も『ディミュニエンドこそ、感情をクレッシェンド(だんだん強く)していくものだ』と言っていました」とラフマニノフだからこそ求められる豊かな“情緒”があるとうなずく。

そして今回、2人が何より楽しみにしているのが、タクティカートオーケストラとの共演。「まだ認知度は高くないですが、彼らがどれだけ素晴らしいかを証明するチャンス。指揮者として彼らのポテンシャルを引き出さなくてはいけない」と坂入が語れば、吉見も「坂入さんを含め、若いみなさんとだからこそ、ゼロからいろいろ試しながら作っていけるのが楽しみです」と期待と意気込みを口にしていた。

「ラフマニノフ生誕150周年記念コンサート ~タクティカートオーケストラ特別公演~」は2月23日、東京オペラシティにて開催。

取材・文・写真/黒豆 直樹