相葉裕樹(左)と夢咲ねね

 ミュージカル「レ・ミゼラブル」のアンジョルラス役などで、このところミュージカルで活躍している相葉裕樹。元宝塚歌劇団星組トップの娘役で、ミュージカル「東京ラブストーリー」など数々のミュージカルに出演する夢咲ねね。この2人が、主役とヒロインとして、2月に上演されるオフブロードウェーミュージカル「Ordinary Days」に出演する。本作はソングスルーミュージカルという、ほぼせりふがなく、楽曲のみで構成されたミュージカル。ピアノの生演奏をバックに、ニューヨークを舞台に、2組のカップルが幸せを求める4人芝居となっている。今回は、ジェイソン役の相葉とクレア役の夢咲に本作の見どころなどを聞いた。

-ほぼ楽曲で進行するソングスルーという内容を聞いたときはどう思いましたか。

相葉 「ソングスルーミュージカルって何?」というのが最初に浮かんだんですけど、多少はせりふがあるだろうとは思っていたんです。だけど、ふたを開けてみたら、本当にずっと曲だけだったので、「これは大変だぞ」という印象でした(笑)。

夢咲 最初、私はソングスルーということをちゃんと理解していなくて、仮台本を読んだときに、せりふが長いなと思ったんです。そうしたら、せりふの上に音符マークが付いていて、書いてあるせりふの全部が歌でびっくりしました(笑)。

-本作のソングスルーとしての楽しさ、難しさをどう感じていますか。

相葉 ソロ曲も多くて、その時間はピアニストと自分一人との戦いなので、逃げ場がないという感じです。コンサートやライブだったら、歌1本で勝負できるんですけど、お芝居に歌と音楽があるというソングスルーでは、楽曲に少しまだ翻弄(ほんろう)されている部分があるんです。歌詞やメロディーのことを考えてしまって、芝居を組み立てられていなくて、初日までの稽古日数を考えるとスリリングです(笑)。でも、とても素晴らしい作品と楽曲なので、きっと楽しいものになると思っています。

夢咲 いつも出演させてもらっているミュージカルは会話があって、そこから自分の気持ちを音楽に乗せて吐露することが多いんですけど、今回は本当に歌だけなんです。だから、芝居の部分が隠されたところにあるので、私だったらジェイソンとの関係をどこまで深く見せられるのかという不安はすごくあるんですけど、そこはみんなで初日までに深めていけたらと考えています。

-ソロ、デュエット、コーラスといろいろな楽曲もそろっていますが、本作の見どころは?

相葉 後半になると、4人のハーモニーが重なっていくんですけど、2組のカップルが違う空間にいながらハモっていて、それが運命の交錯する瞬間という感じで、そこは見どころです。

夢咲 2組のペアが同じ場所にはいないのに、実はすれ違っていたり、別のペアの行動によってもう一つのペアの物語が進んでリンクするところが四重唱となっていて、すごく面白いです。ストーリーは、何げない日常の中で4人のキャストが四者四様の人生を歩みながら、最後には、それぞれが小さな幸せや進む勇気を見つけるものになっているので、お客さまにも最後には小さな幸せを見つけられるものになればいいなと思います。

相葉 作品を通して、日常のありふれた幸せになれるようなものとして共感していただいて、幸せをより一層強く感じていただけたらうれしいです。

-お二人はペアを演じますが、役柄と比べてお互いの印象は?

夢咲 相葉さんとは初共演ですけど、ジェイソンそのままだなと思っています。違ったらごめんなさい(笑)。

相葉 近い部分はあります(笑)。クレアが何かしらの闇を抱えているのは感じているし、衝突やすれ違いもあるんですけど、そうなってしまうのも、甘えであったり、大人な男性として居続けられないというか。それと、このニューヨークでジェイソンは孤独を感じていると最初のナンバーで歌うんですけど、クレアと一緒に暮らしたいという寂しがり屋というところに共感しています。

夢咲 ジェイソンを演じているときに、それが素なのかなと思って見ていました(笑)。

相葉 かわいらしいんだと思います(笑)。大人になり切れない30代という感じです。

夢咲 (笑)。

-クレアと比べて、夢咲さんの印象はいかがですか?

相葉 夢咲さんはとてもおおらかで、いろいろと話してくださるんですけど、クレアと近いなと思ったのは、闇を抱えているんだなというところです。

夢咲 うそ!?

相葉 そういう風には見えないですけど、初めて会ったときにはそれを感じました。具体的には分からないですけど、いろいろあったんだろうなというのを感じました(笑)。

夢咲 何それ(笑)。

相葉 それを乗り越えての今のおおらかで穏やかで、ニコニコ楽しんで接してくれている夢咲さんは、クレアと共通点があるなと感じています。

夢咲 当たっているのかも(笑)。見抜かれているの? ちょっと怖い(笑)。私も相葉くんの闇を見つけてやるから(笑)。

-作品の舞台となるニューヨークに行ったことは?

相葉 一度だけあります。作中に出てくるメトロポリタン美術館にも行きました。ただ、中心街よりもブルックリンのような下町の方が僕の好みでした。

夢咲 宝塚時代は、出演作品のモデルになっている国へ旅行するのが好きだったんですけど、ニューヨークには行ったことがなくて、本作の世界はテレビの中のマンハッタンみたいな感じです。それと、作中に「街巡りトップ10」というのがあって、その中にサーカスの空中ブランコが出てくるんですけど、それがすごくやってみたいんです(笑)。ジェイソンは吐きそうなのを我慢していたんですけど、相葉くんもそうなるのかなと想像しています(笑)。

相葉 僕自身はそういうのは好きで、バンジージャンプぐらいだったら大丈夫です(笑)。

-“Ordinary Days”は「日常」という意味ですが、オフの日の日常などはどのように過ごしていますか。

相葉 軽井沢が好きで、日帰りで行って買い物とかしています。軽井沢っておしゃれなカフェも多いし、敷地も大きくて、自然もあるショッピングモールにはアウトレットもあって、軽井沢はお勧めです。あとは、お風呂が好きなので、オフの日には銭湯にも行っています。

夢咲 犬を2匹飼っているんですけど、オフの日に出かける予定がないときは、犬とずっとゴロゴロしています。私もアウトレットも好きです! 年末には友達と近くのアウトレットモールに行って爆買いしていました(笑)。

(取材・文/櫻井宏充)

 オフブロードウェーミュージカル「Ordinary Days」は、2月8日から12日に都内・俳優座劇場ほか、大阪で上演。 公式サイト