90年代半ばから、大阪のFM802や埼玉のNACK5でヴィジュアル系のラジオ番組のパーソナリティを担当されている浅井博章さん。
ラジオやイベントを通して15年以上シーンに関わっている氏から見たヴィジュアル系文化とはどういったものなのでしょうか?
――浅井さんは90年代から現在にいたるまでFM802やNACK5でヴィジュアル系のラジオ番組のDJとしてご活躍されていますが、そもそも昔からヴィジュアル系がお好きだったのでしょうか?
浅井:元々僕は高校生くらいの頃はX(JAPAN)やCOLOR、LADIES LOOMみたいなバンドがとても好きで。友達とコピーバンドをやっていた経験が下地にはあるんですけど、大学生になりラジオDJを目指すようになると、洋楽ばっかり聴くようになって。当時のFMラジオDJというと洋楽なんですね。
――たとえば90年代のJ-WAVEは「洋楽しか流さない」みたいなところが売りでしたし、そういう空気はありましたよね。
浅井:そういう理由もあって、日本の音楽自体を一切聴かなくなった時期もあったんですけど。FM802のオーディションに受かり、DJになって、その時やっていた音楽番組にLUNA SEAがゲストに来ることが何度かあったの。『MOTHER(94年)』と『STYLE(96年)』の時だったかな。それがきっかけでRYUICHIさんと少し仲良くさせてもらうようになって。
――それから96年にヴィジュアル系専門の音楽番組「V-ROCK 802」のDJに抜擢されるわけですね。
浅井:新しく音楽専門番組を始めるというので、局の人と扱うジャンルを話し合っている時に「浅井はLUNA SEAと仲いいんならヴィジュアル系やればええやんか」と言われたんです。正直戸惑いもあったんですよね。たしかにXやCOLORは好きでしたけど、その時期に人気があるバンドのことはほとんどわかりませんでしたから。番組が始まったばかりの頃はトイレにバンドやメンバーの名前を書いた紙を貼ってましたね。覚えられないから(笑)。
そこからいわゆる「ヴィジュアル系」の音楽ばかりを聴く生活が始まって。ほぼ毎日誰かのライブに行って、バンドが大阪に来たタイミングでインタビューさせてもらったりして…と、やっていく内にだんだん詳しくなっていったという感じです。