フェニーチェ堺(堺市民芸術文化ホール)は8月5日(土)、ヨーロッパで活躍する演出家、菅尾友が台本・演出を手掛ける「子どものためのオペラ『まほうのふえ』~パミーナ姫のたんじょうび~」を上演する。このオペラは2018年にザルツブルク音楽祭で上演され、好評を博したもの。ヒロイン、パミーナ姫を明日8歳の誕生日を迎える少女に設定するなど、モーツァルトの『魔笛』をベースに登場人物たちの年齢や関係を置き換え、オペラを初めて観る子どもたちが楽しみながらその奥深い魅力に触れることのできる作品になっている。日本語版は2019年にフェニーチェ堺小ホールで上演されているが、今回はオーケストレーションもバージョンアップ。同館初の自主制作作品として大ホールで上演する。
子どものためのオペラ「まほうのふえ」~パミーナ姫のたんじょうび~ チケット情報
指揮はドイツ、マクデブルク市立歌劇場のカペルマイスターを務め、トリノ王立歌劇場および兵庫県立芸術文化センターほかで佐渡裕のアシスタントを務めた気鋭の瀬山智博。また美術・衣裳は菅尾と共に多くの作品を手掛け、ザルツブルク音楽祭でも本作品を担当したユリア・K・ベルントが務め、ファンタジーに溢れた舞台を創り上げる。管弦楽は大阪交響楽団。ヒロインのパミーナ姫をはじめ、夜の女王、タミーノ王子、パパゲーノにパパゲーナといったおなじみのキャラクターにはオーディションで選ばれたフレッシュな顔ぶれが揃う。
2月24日、フェニーチェ堺大ホールで行われた制作発表記者会見には、瀬山智博とパミーナを歌う松原みなみ、夜の女王役の谷川あお、パパゲーナ役の辻本令菜(※辻のしんにょうの点はひとつ)、そしてドイツから菅尾友がリモートで登壇。菅尾は「約1時間というコンパクトな上演時間の中に子どもたちをオペラに誘うさまざまな工夫を込めた作品。物語の楽しさだけではなく『魔笛』が本来持つシリアスな部分や、ドラマティックな音楽の魅力も感じてほしい」と語った。また大役に臨む松原が「本番に向けてわくわくする気持ちが止まらない」と語れば、他の2人も「この素晴らしいホールで成長の機会をいただいたことに感謝」と声を揃えるなど、会場は華やかな雰囲気に。こうした中、瀬山は「『魔笛』は僕が20歳で初めて観て大きな感激を覚えたオペラ。『まほうのふえ』という作品を通して、モーツァルトの素晴らしさをすべてのお客さまに伝えられるように良いチームを創っていきたい」とステージへの意気込みを力強く語った。
文:逢坂聖也