不倫というよりは、夫婦の恋愛にフォーカスした作品

こやま先生:TwitterやAmazonのレビューの感想は、ほぼほぼ拝見させていただいています。

中村:それが漫画に反映されることはありますか?

こやま先生:読者の方は自分でストーリーを考えて、「ここはこうしてほしい!!」って言ってすごく怒ってらっしゃったりするんですけど(笑)、その中でも、「これはなんでこうなの?」という、こちらが気づかなかった疑問などは参考にしたりしていますね。

たぶん何気ない意見のつもりで書いたのだと思うんですけど、そういった疑問がわくのであれば、こちらも解決するための答えを用意しよう、という風にはしていますね。

中村:最近不倫問題が多いですが、その世相を反映されたりは?

こやま先生:それはないですね。不倫って今にはじまったことじゃないですよね(笑)。源氏物語の時代からあることなので、普遍的な男女のテーマだと思っています。

中村:確かに! では作品の中で、不倫だからこそという点で気を付けていることはありますか?

こやま先生:基本は“夫婦の愛情”を描くことなので、そこはブレないようにしていますね。

読者の方の中には、不倫を体験したことがある人と、ない人がいると思うんですけど、後者の方には、作品を読むことで“バーチャル体験”をしてもらえるくらいリアルに感情を描くようにしています。

逆に、不倫を経験している人には「そうそう! こういう感情!」って共感してもらえるといいなと思っています。

“バーチャル体験”を読者に届けるための作品づくり

中村:“バーチャル体験”を読者に届けるために、どのように作品づくりをしているんですか?

こやま先生:自分がなりきることです。すべてにおいて自分がそのキャラクターになりきらないといけないので、すっごくしんどいです。杏寿になって苦しくなったり、渡になって「わあー!」って言ったり(笑)。

なりきって初めて出てくるセリフがあるんですよ。ドラマに出てきた里奈の「恋愛が始まる時は両方の意志が必要なのに、終わる時は片方の意志だけでいいんだ」っていうセリフも、里奈になりきったら出てきましたね。

里奈がすっごく純平のことを好きで、がんばってアタックしてやっと恋愛になったと思ったら、そっぽを向かれるわけですよね。そういう心境ってどうなのかな……って思ったときに。

中村:あれは名言でしたね!! 私も実は浮気されたことがあるので、杏寿の気持ちがすごいわかるんです。ただ、浮気した男性が渡さんみたいな人で(笑)、さらに、浮気相手が里奈っぽい人だったり……。いろんな角度から感情移入しすぎて大変です(笑)。

こやま先生:ダブル里奈!!?(笑)

中村:そうですね(笑)。でも里奈には里奈の事情があって、と思うと、最近は里奈のこと考えると涙が出てきます。

ただ、読みながらずっと文句は言ってるんですけど、すみません(笑)。でも文句を言える作品はすごいと思って読んでいます。『ホリデイラブ』は許せないことが多いです(笑)。

こやま先生:ありがとうございます(笑)。でも実際に体験した人が「こんなん違うわ」って思ったら失敗です。体験したことある人が「これだ!」って思ってもらえたら成功です(笑)。