竹野内さんの愛おしさにやられました!
――では、特に印象に残っている共演シーンを教えてください。
伊藤 すごく大好きなシーンがあるんです。あのシーンを撮っているときに一番笑いました。
竹野内 (不安そうな表情で)えっ、なんだろう……。
伊藤 忍者の格好をした竹野内さんが煙玉を床に投げつけるところ。
竹野内 ああ、煙遁の術に励む場面だ(笑)。
伊藤 ハイ。アレ、完成した本編では煙玉が爆発しているように見えていますが、撮影現場には煙も何もなかったじゃないですか。すごくシュールでしたよね(笑)。
竹野内 自分が忍者であると信じて疑わないMASAYAの真剣さも、そのシュールな感じに拍車をかけていたような(笑)。
伊藤 見ていたら笑いが止まらなくなりました。俳優としての先輩にこんなこと言ったら失礼かもしれないですけど、竹野内さんのお芝居がぴたっとハマっていて、すごく愛おしかったです。ああ、思い出したら、またお腹がよじれそう!
――そのシーン、要注目ですね。ところで、MASAYAは心に傷を負ったマリコを支える包容力も持っています。伊藤さんの目から見て魅力的な男性ですか?
伊藤 MASAYAはマリコを本来の自分で居させてくれるという点において理想の恋人だと思います。マリコがバーテンダーをやったり、歌舞伎町の街で探偵をやったりしていられるのは、MASAYAとの深い絆があるからこそだと思いますし、マリコにとってのMASAYAは命綱みたいな存在なんじゃないかな。
竹野内 命綱か……。ふたりの関係を的確に言い表していて、刺さりますね。きっとMASAYAにとってのマリコもそうだと思いますし、彼女が側にいてくれるおかげで、心置きなく忍者として活動できているのだと思いますね。
伊藤 そうかもしれません。冷静に見たら、心配せずにはいられない生活ぶりですしね(笑)。
竹野内 年金を滞納してマリコに何度も「払った?」と確認されて、払ってないのに「払った」と嘘をついたり(笑)。
伊藤 でも、真っ直ぐな気持ちで生きている。マリコとMASAYA以外にも、落ちぶれたヤクザとか、宇宙人をかくまう科学者とか、殺し屋の姉妹とか、濃ゆ〜いキャラクターがたくさん登場しますが、結果的にストーリーが胸にストンと落ちるのはそれぞれがひたむきに生きているからなんでしょうね。