2021年に放映されたフジテレビ月9ドラマ「イチケイのカラス」。竹野内豊演じる自由奔放な主人公・入間みちおと、東京地方裁判所第3支部第1刑事部(通称:イチケイ)のメンバーたちが奔走する姿を描いた本作は、民放連続ドラマ初の裁判官を主軸としたリーガルエンターテインメントとして大人気を博した。
そして続編を求める声に応えた映画『イチケイのカラス』が堂々公開! イチケイを去って2年後、岡山に異動したみちおが担当する傷害事件と、不審点だらけのイージス艦と貨物船の衝突事件が重なったとき、浮かび上がる真実とは──? テレビよりもスケールアップした事件とスリリングなストーリー展開は、ぜひ劇場で楽しんでほしい。
今日は被告人役の田中みな実と“みちおイズム”を受け継いだ裁判官役の西野七瀬が、撮影秘話を語ると共に、リアルな女子会風おしゃべりもしてもらった。
緊張感漂う現場でチャレンジした演技が血肉に
──映画『イチケイのカラス』で、田中さんは傷害事件の被告人・島谷加奈子、西野さんは裁判官・赤城公子を演じましたが、やったことがない、なじみのない役柄に入るときは、どういう準備をされるんですか?
西野 特別なことは何もしていないんです。事前に裁判官の資料などを読んだり、どういう仕事なのかを改めて調べたりをしていました。
──人気のドラマの映画版に出演ということで、プレッシャーもあったかと思います。
西野 田中亮監督とは以前お仕事ご一緒させていただいたことがあったんです。「気楽な感じでやってね」と言っていただけたので、本当にそういう感じでした。赤城公子は観ている方に一番近い気持ちでいられる、身近な存在のキャラクターだったので、主人公・入間さんに対してのリアクションなどに、共感していただけるよう意識しました。
──観ている方が親しみを感じるような役柄?
西野 うーん、そういうような気持ちが持てる役柄だったのかなと思います。
──笑顔に癒されながら観ていました。
西野 ありがとうございます。
田中 学級委員長みたいなキャラクターだったね。
西野 はい、そうですね。学級委員長をきっとやっていたんだろうなって、想像していました。
田中 ななちゃん演じる赤城公子は、ザ・優等生。入間さんにちょっと引いている感じが面白いんです。ななちゃんのちょっとしたリアクションに私も何度も笑いを誘われました。作品の内容がなかなかヘビーなので、入間みちお、赤城公子、柄本時生さん演じる土井潤の3人組の、結束感があるようなないような凸凹感が癒しでもあり、すごく好きでした。
──作品の中の、華というか癒しみたいな存在?
西野 ほっこりパート(笑)。
──ほっこりパート! それも重要な役割ですよね。そして田中さんは今回、被告人でありながら被害者でもありえるという、悲しい女性を演じましたが、難しい役柄だったのではないでしょうか。
田中 もう終始一貫として、ずっと哀しみを背負っているような人物でした。しかも主には導入部分と最後の法廷シーンのみの出演でしたので、台本には描かれていない人物の人生や感情について、とても考えさせられました。
──ご自身で想像をされながら……。
田中 そうですね、夫役である津田健次郎さんとも同じシーンがなくて。子役さんも交えて写真撮影をした日があったのですが、それきりでした。夫婦でありながら関係性が描かれないまま、夫が死んでしまうという展開で、想像しなければならない部分はかなり大きかったです。
──その悲しみにご自身の感情を持っていくためには、どんな工夫があったのでしょうか?
田中 あの法廷が、すごい緊張感なんですね。
西野 私は横並びの裁判官でしたけど、被告人は1人ですから。だからこそ観ているほうにも、悲しみがすごく伝わってきました。
田中 法廷のあの空気感は独特だと思います。私とななちゃんはバラエティでも会っているし、産業医役の吉田羊さんとも別の作品で共演していたけど、やっぱりあの空間に入ると緊張感……自分が緊張するとかじゃなくて、法廷の緊張感、あの空気感になっているんですよ。主役の竹野内さんやドラマからの制作チームが作り出している空気感なのだと思います。
──被告人の気持ちをリアルに味わわれたんですね。
田中 技術や美術担当の方もなるべく目線に入らないようにしてくださって、お芝居に集中できる環境を作ってくださいました。本当に本当にいい経験をさせていただきました。