(左から)阪口大助、杉田智和、釘宮理恵
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  • 『銀魂 THE FINAL』
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アニメ『銀魂』が15年の時を経て、“本当の終わり”を迎える──。

2003年に週刊少年ジャンプ(集英社刊)で連載をスタートした『銀魂』は、主人公・坂田銀時を中心に繰り広げられるSF時代劇コメディ作品だ。

2010年にはTVアニメ化、度々の休止期間を挟みつつ、2018年まで約12年間にわたり放送を続けてきた。

その間には『劇場版銀魂 新訳紅桜篇』(2010年公開)、『劇場版銀魂 完結篇 万事屋よ永遠なれ』(2013年公開)と劇場版も2作公開。

TVアニメ・劇場アニメでは幾度となく「終わる終わる詐欺」を繰り返し、視聴者を翻弄し続けてきた『銀魂』が、ついに公開中の映画3作目『銀魂 THE FINAL』で“本当のファイナル(最後)”となる。

2019年に連載終了となった原作のラストをベースに物語が描かれた本作。銀時たちの前に立ちはだかるのは師匠・吉田松陽の別人格・虚(うつろ)だ。おなじみの万事屋メンバー新八、神楽、松陽の弟子である高杉、桂、さらには真選組も参戦し、それぞれの思いを胸に最後にして最大の敵に立ち向かう。

今回は、坂田銀時役の杉田智和さん、志村新八役の阪口大助さん、神楽役の釘宮理恵さんの万事屋3人にインタビュー。『銀魂 THE FINAL』に対する思いや約15年間万事屋を演じ続けてきた中でのさまざまな“変化”を聞いた。

作品が終わりを迎えても『銀魂』の世界は残り続ける

(左から)阪口大助、杉田智和、釘宮理恵

──「終わる終わる詐欺」で有名な『銀魂』ですが、『銀魂 THE FINAL』では“本当の終わり”を迎えます。本作のお話を受けた際の率直な思いをお聞かせください。

杉田 動じることはなかったです。「終わる終わる詐欺」と言われてきましたけど、当事者からすると過敏に騒ぐことは何の意味もないと思っているので。似たような言葉に「閉店セール」がありますが、名前の通りに受け取ると損をしますよね。いかにして物事に対して動じないか、そこへ意識が向いていたかもしれません。

釘宮 私も何年も前から「終わる終わる詐欺」を繰り返してきて心の準備が整っていたし、今回の映画で終わりになることは結構前から聞いていたんです。だから、土壇場になって心がざわつくこともなく。自然と「始まりがあるからには終わりもありますよね」と淡々とした気持ちで受け止められたと思います。

──本作は原作のラストをベースに物語が描かれていきます。最初に台本をご覧になったときの感想をお願いします。

阪口 「あぁ、終わるんだな」と。原作も終わっていますし、そりゃ終わりますわとも思いました。でも、『銀魂』の世界は終わりではないから。僕と新八との繋がりは終わってしまうかもしれないけど、『銀魂』の世界に終わりがあるわけではないとハッキリ分かる終わり方でしたし。そこまで悲しさ、寂しさを感じることはなかったですね。

釘宮 阪口さんがおっしゃるように『銀魂』の未来を自由に思い描いていいと許されたような気がする終わり方で、台本を読み進めていくうちに腑に落ちて、ちょっと爽やかな気持ちにもなりました。落ち込むことはなかったです。むしろ、ここまで『銀魂』をやらせてもらえたのは「みなさんのおかげです!」と感謝の気持ちも湧き上がってきて、幸せな作品だなと思いました。

──杉田さんはいかがでしょう?

杉田 台本をもらったときはどこまで読んだ方がいいかな……と思いました。チェックし過ぎると慣れてしまうので、無理に台本を見ないようにしていて。高杉役の子安武人さんがアフレコのテストが終わったとき、「大事なシーンだから何回も演じたくないよね」とおっしゃって、まさにその通りだと。そのとき出た言葉を信じたいと思いました。

同じように原作もある時から読まなくなったんですよ。先を知り過ぎてしまうと新鮮な声が出ないかもしれない、とよく分からない不安に取りつかれて。原作があるから原作通りが正解、というのは違うとも思っていますし。

阪口 僕も原作はアニメが終わったら読むようにしていますね。やっぱり演じるときに新鮮でありたいし、新八は基本的に巻き込まれるキャラクターなので、用意されたリアクションにしたくないと思っているので。

『銀魂 THE FINAL』

──『銀魂 THE FINAL』では感染対策を取りながら、万事屋3人でアフレコ収録されたとのこと。アフレコ中の印象的なエピソードはありますか?

杉田 ハプニングが起きなきゃいけないという使命感……。そんなハプニング起きないから! コメディ作品ほど、現場は誠実に真面目に収録していますよ。ふざけてしまったら完成しないんですよ。

ただ、今回は(コロナ禍で)収録の方法がだいぶ変わったので、その状況下で上手く合わせることが大事になっていましたね。

阪口 そうですね。現場には万事屋の3人しかいなかったし、飛沫防止板がこんなに邪魔だとは思わなかったです。隣のくぎみー(釘宮)の雰囲気が全然感じ取れなくて、合わせづらかったです。

釘宮 いつも新八と神楽が声を合わせるときは、挙動で「せーの!」ってするのですが、空気の振動で何となくアクションより先にタイミングを図っている部分があったんです。その空気が今回は全く感じなかったんですよね。面白いくらい合わなくて(笑)。

阪口 こんなに合わねぇのか!って。

釘宮 いつもより大きくアクションを取って、ようやく合う感じでした。

杉田 それ以外はいつも通りでしたよ。アニメとしては終わるけど、『銀魂』は生き続けるし、ちっとも終わる実感はなかったです。強いていえば、最後に音響監督からさらっと「悔いはありませんか?」と聞かれたくらい。「ないですね」と答えました。

現場も最後だからといって、何か挨拶を……みたいなことはなかったので。いい意味で普遍的なものが身についていると思います。

阪口 (笑)。まあでも、そういう空気をスタッフさんたちがつくってくれていたのかもしれないですけどね。「はい、じゃあ録りまーす!」といつも通りに始まっていつも通りに終わったんですよ。だから、感慨深さみたいなものはなかったですね。

釘宮 何年か時間が空いて、また始まってもおかしくないくらいいつも通り。この感じに体が慣れちゃっているかもしれないですね。