奥平 僕は逆に暗かったんだけど、引きこもりの役だったから、そのときの森さんの印象は正直あまりなくて。

ただ、出演作はけっこう観ていて、すごいお芝居をするなって思っていたし、丸太も伊咲に引っ張っていってもらうようなキャラだったから、お芝居に関しては監督とも「森さんに引っ張ってもらおう」という話をしていて。

それこそ、森さんはナチュラルのお芝居をするから、撮影中に本当に笑っているのか、お芝居で笑っているのか分からないときがあって。

笑い方ひとつでもニュアンスが違ってくると思うんですけど、それが自然にできるのはその瞬間をちゃんと生きて、感じているからなんですよね。

そういうところがスゴいなと思うし、何をしてくるのか分からないから、すごく楽しくて。

僕も頑張ろうって気持ちに自然になりました。

森さんはやっぱりスゴい

――現場では、実際に森さんが奥平さんを引っ張っていく感じだったんですか?

『君は放課後インソムニア』©オジロマコト・小学館/映画「君ソム」製作委員会

奥平 撮影に入る前は、現場は主演俳優が引っ張っていくものなんだろうなっていう勝手なイメージがあったんですけど、今回は(ソフトボール部に所属している伊咲の幼いころからの友人・穴水かなみに扮した)安斉星来さんがすごく明るかったし、みんな本当に同じぐらいのテンションで。

高いときもあるけれど、高くないときもナチュラルにいるから、別に無理に引っ張らなくてもよかったんです。

ただ、森さんは引っ張らなければいけないときは、主演としてちゃんと引っ張ってくれたから、やっぱりスゴい。

僕もそれができたらカッコよかったんだろうけど、それが今回の現場ではできなかったので、先輩を見習いたいなと思いましたね。

演じながらときめいたシーンは?

――劇中には原作コミックそのままの素敵なシーンがいっぱいありましたが、おふたりが演じながらときめいたシーンはどこですか?

花火!

奥平 ああ!

花火はすごくよかったですね。花火を最近ずっと見てなくて、久しぶりに見たんですけど、あれはロケをした石川県七尾市の本物のお祭りの花火で。

コロナ禍でお休みしていたから、お祭り自体3年ぶりの開催だったんです。その花火っていうのも嬉しかったし、あの時間はすごくよかったなと思います。

奥平 僕は伊咲の写真を撮るシーンですね。

夜に川の近くをふたりで散歩しているときに伊咲を撮るところがあって。

それが後の、ときめきでシャッターを押す“ときめきシャッター”の一連に繋がっているんですけど、あそこは丸太としても自分としてもけっこうときめいていたかもしれない(笑)。

――伊咲がカメラを向ける丸太の前で足を高く上げるシーンも鮮烈でしたね。

あれは漫画の中の伊咲を象徴するポーズだったので、どこかで入れたかったんですけど、あのシーンを撮るってなったときに“ここだ!”と思って(笑)。

奥平 そうだったんだ?

宿泊していたホテルで柔軟体操をしてから、ちょっとやってみたんですけど、やることを監督にも話してなかったかな(笑)。

奥平 え~、スゴいね。僕はもう夢中で写真を撮っていたから気づかなかった。

もうちょっと、ときめいて欲しかったな(笑)。

――伊咲が“ある秘密”を丸太に話す雨のバス停のシーンの撮影はいかがでした?

あそこはめっちゃ夜遅くに撮影をしたんです。

スタッフさんも差し入れを食べながら頑張ってくれていたんですけど、原作の中でも重要なシーンだし、自分自身も思い入れがあり過ぎたから、私は自分が目標にしていたお芝居がなかなかできなくて。

そんな伸び悩んでいたときに、奥平くんがズブ濡れになりながら、熱量を上げるアクションを起こしてくれたから、本当にありがたかったです。

奥平 僕は森さんほど昔からこの作品のことを知っていたわけではないけど、撮影に入る前にはちゃんと好きになっていました。

それだけに、原作に寄せ過ぎるのもよくないなとも思って。

最初は漫画のそのシーンを意識していたけれど、漫画で見て知っている動きを最初から決めてやるのは僕がいちばん嫌いなお芝居だし、そこは自分たちの会話や空気からちゃんと気持ちを作って、リアルなものにしていきたかったんです。

そこに関しては、僕も森さんにすごく助けられました。最初にお話しした、やってみないと分からない、というのはそういうことなんです。

そう言ってもらえてよかったです。なんか私、“(湧き上がった感情を共演者にぶつけて行く)当たり屋”みたいなところがあるので、嫌われてないかなって心配していたんですよ(笑)。