入れ替わりのパターンはいろいろ

異性に興味を持つ年頃の男子と女子が入れ替わってしまうのが「おれがあいつであいつがおれで」の特徴なのだが、入れ替わりのパターンは他にもある。

たとえば、1998年にテレビ朝日系で放送された『チェンジ!』は、母親と娘の入れ替わりだった。女優をしている母親役を演じていたのが浅野温子。中学生の娘役を演じていたのが、当時チャイドルとして人気だった野村佑香。仲が悪い母娘が家で揉めているときに2人で階段から落ち、入れ替わってしまうという話だった。

母親と娘ではなく、父親と娘というパターンもある。2007年にTBS系で放送された『パパとムスメの7日間』がそうだった。大手化粧品会社に務める父親役は舘ひろし。高校生の娘役は新垣結衣。伝説の桃を食べたあとに電車で事故に遭い、2人の中身が入れ替わってしまうという話だった。この頃になると映画『転校生』はオマージュの対象になっていて、入れ替わりを戻すために父親と娘が神社の石段を転げ落ちてみるというシーンも盛り込まれていた。

親子の入れ替わりでは子供が親の身体になってしまうので、夫(父親)や妻(母親)と2人きりで寝室に入るとドキドキしてしまうというシーンが、どちらの作品にもお約束のように入っている。

さらに、2011年に日本テレビ系で放送された『ドン★キホーテ』は、男同士の入れ替わりだった。

ひとりは草食系のひ弱な児童福祉司で、最初に演じたのは松田翔太。もうひとりは任侠集団の武闘派親分で、最初に演じたのは高橋克実。こういう正反対のキャラクターが入れ替わることで、いつの間にか2人が子供たちを救うヒーローになってしまうというストーリーだった。

松田翔太と高橋克実は、どちらも優しいキャラと凄みのあるキャラを使い分けられるので、キャスティングとドラマの設定はかなり合っている作品だった。

ちょっと変わったパターンとして、前クールにフジテレビ系で放送された『山田くんと7人の魔女』も入れ替わりドラマの範疇に入れてもいいかもしれない。特殊な能力をもつ魔女が存在する高校を舞台にした物語で、西内まりやが演じる白石うららの能力が入れ替わりだった。

この作品の特徴は、相手とキスをすると自由に入れ替われるというところ。ただ、女子高生が誰とでもキスをするのは不自然なので、キスをした魔女の能力をコピーできる能力をもつ山田くん(山本裕典)を仲介して、他の人物との入れ替わりが行われていた。

他にも、死んだ人の魂が入って身体と中身が違ってしまうというパターンもあって、今期のドラマでは日本テレビ系の土曜深夜に放送されている『49』がこれにあたる。ひきこもりがちで地味な高校生・暖(佐藤勝利)のなかに、暖をかばって死んだ父親の魂が入り込み、急に活発で明るい性格の人気者になるという話だ。

このドラマには、父親が暖の好きだった同級生・幸(山本舞香)にときめいたり、暖が父親の妻、つまり母親(紺野まひる)に欲情したりすると、魂が入れ替わってしまう設定があり、ひとつの身体に魂がふたつという状態でストーリーが進んでいる。野島伸司の脚本だけあって心理描写は意外と繊細なので、じつは見て損のない作品だったりする。