14回目を迎える「フェスタサマーミューザKAWASAKI」2018。概要の発表会見が、3月28日に主会場となるミューザ川崎シンフォニーホール内で開かれた。「奏(so)クール!」をキャッチフレーズに、首都圏のプロ・オーケストラが今年の夏も川崎に勢ぞろいする。プログラムをざっと見てみよう。
ミューザを本拠とする東京交響楽団が、ホスト・オーケストラ役としてオープニング(7月21日(土))とクロージング(8月12日(日))に登場、生誕100年のバーンスタイン作品を含む祝典プログラムを聴かせる。前者の、大西順子、中川英二郎、本田雅人らトップ・ジャズ・ミュージシャンたちの共演は聴き逃せないし、後者の、かつて舞台上演でも主役を演じた幸田浩子、中川晃教の二人が歌う《キャンディード》(バーンスタイン)からのナンバーにも注目だ。
7月22日(日)新日本フィルと7月29日(日)は東京シティ・フィル、2公演で「正統派ドイツ音楽 I&II」。前者では横山幸雄のモーツァルト第20番、後者ではシュテファン・ヴラダーによるベートーヴェン《皇帝》と、定番の名ピアノ協奏曲も楽しめる。一方、平日の7月24日(火)と8月3日(金)の2公演は、期待の若手ロレンツォ・ヴィオッティが指揮する東京フィルのラヴェル&ドビュッシーと、川瀬賢太郎/神奈川フィルのサン=サーンス特集による「絶品フレンチ I&II」を形成する。こちらも、小山実稚恵のラヴェル(7月24日(火))、サン=サーンスでは神尾真由子のヴァイオリン協奏曲第3番、4月からミューザのホール・オルガニストに就任する大木麻理の交響曲第3番と、共演者も楽しみな陣容。
ほかにも、現在パーヴォ・ヤルヴィの助手を務める1992年生まれの熊倉優が振るNHK交響楽団(8月4日(土))、鬼才マルク・ミンコフスキが都響を率いる《くるみ割り人形》(8月5日(日))、反田恭平がラフマニノフの《ピアノ協奏曲第5番》(交響曲第2番の編曲)を日本初演する藤岡幸夫/日本フィル(8月9日(木))、客席の投票でNo.1を決める東京ニューシティ管の「灼熱のアリアバトル」(8月10日(金))、もはやおなじみ新百合ヶ丘テアトロ・ジーリオ・ショウワでの「出張サマーミューザ@しんゆり」(7月29日(日)&8月4日(土))など、例年にも増して魅力的なラインナップがずらり。
オーケストラ公演以外にも、恒例の「サマーナイト・ジャズ」(7月28日(土))や、鈴木雅明のオルガンによる「真夏のバッハ」(8月11日(土・祝))など、日程を眺めているだけで食指が動く。いつものように、プレトークや公開リハーサル、出演者による室内楽など、開演前のうれしい「おまけ」もチェックしたい。
「フェスタサマーミューザKAWASAKI」2018は7月21日(土)から8月12日(日)まで全19公演。会期後半には、昨年逝去した音楽写真家・堀田正矩さんの追悼写真展「音楽へのまなざし」も併催される(7月31日(火)~・ミューザ川崎企画展示室)。
取材・文:宮本明