“濃い顔”軍団、ふたたび――『テルマエ・ロマエ』 ※続編
©2014『テルマエ・ロマエII』製作委員会
古代ローマ時代の浴場技師がなぜか現代日本へタイムスリップし、こだわり抜かれた“風呂文化”に感動。舞い戻ったローマで風呂革命を起こす――。
ジャンル分け不能な独自のおもしろさを秘めたヤマザキマリ氏の人気コミック『テルマエ・ロマエ』を原作として、2012年に実写映画化。60億円に迫る大ヒットを叩き出した。その続編が2014年、満を持して公開される。
実のところ記者は、続編公開はないだろうと悲観していた。なぜなら原作者のヤマザキ氏が2013年にテレビ番組で「映画の原作使用料は100万円だった」といった内情を暴露。出版元のエンターブレインに不満を述べ、大きな物議をかもしたからだ。
にも関わらず続編製作ということは、なにかしら今度こそ納得のいく条件で契約が結べたのだろう。これまた記者の憶測だが、『海猿』に続いて原作者トラブルでドル箱コンテンツを失うことを恐れたフジテレビが和解に尽力したのではないかと考えている。作者公式ブログで続編に関する言及が見あたらないので、どうしても想像だけになってしまうが……。
それはさておき、前作の出来栄えを踏まえて考えると続編ヒットもほぼ鉄板だろう。主人公のルシウスに阿部寛さん、さらに北村一輝さんや宍戸開さんといった“濃い顔”メンツの勢揃いしたキャスティングは圧巻だった。
上戸彩さんが演じた“平たい顔族”代表のヒロインもなかなか美味しい役どころで、後半のストーリー展開には賛否両論あったものの、シリアスとギャグを巧みに織り交ぜた演出は好印象。よほど改悪をしないかぎり興行的に失敗する不安要素はどこにも感じられない。
よい風呂の日(4月26日)は、ぜひ映画館に足を運んで爆笑させていただきたい。
原作コミックは1500万部突破!『黒執事』
(C)2014 枢やな/スクウェアエニックス (C)2014 映画「黒執事」製作委員会
舞台は19世紀の英国。女王の命を受けた名門ファントムハイヴ家の幼い当主・シエルが、超万能な執事・セバスチャン(正体は悪魔)とともに、英国を脅かす勢力を駆逐していくゴシックホラーアクション&コメディ。
原作は枢やな氏の人気コミックで、すでにテレビアニメ化、ミュージカル化された。設定的には『ヘルシング』と似た部分も多いが、女性作家ならではの心情描写や、ある意味ボーイズラブ的ともいえる男性キャラ同士のかけあいが独自の雰囲気を醸し出している。
さて実写映画化でどうなるかと思えば、時代設定は原作から130年後(おい!)、場所はアジア某国(なにそれ!)、主役に剛力彩芽さん(まじかよ!)と発表されており、ずいぶん大胆なアレンジが施されているようだ。執事のセバスチャン役には水嶋ヒロさんが決定済み。これが俳優復帰作になる模様。監督は大谷健太郎氏に加え、アニメ界で実績あるさとうけいいち氏も名を連ねている。
原作付きなのに設定レベルで大きく改変されている点について、ネットユーザーからは批判意見も出ているが、実際に出来上がった作品を見てみるまで結論を出すべきではない。
むしろ過去の実写映画化において「こんなもの実写にするなよ」「どうせ駄作だろう」と酷評されていた作品が、いざ公開されてみると意外なヒットを飛ばした例もある。原作自体のポテンシャルは申し分ないので、スタッフ陣とキャストの底力に期待したいところ。