フィンセント・ファン・ゴッホ 《ひまわり》 1888年 SOMPO美術館

ポスト印象派を代表する画家フィンセント・ファン・ゴッホ(1853~1890)。

これまでも様々なかたちで紹介されてきたが、なかでも静物画に焦点をあてた展覧会が、代表作のひとつ《ひまわり》を所蔵する東京・新宿のSOMPO美術館で、10月17日(火)から2024年1月21日(日)まで開催される。

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静物画に焦点をあてた展覧会

フィンセント・ファン・ゴッホ 《麦わら帽のある静物》 1881年 クレラー=ミュラー美術館、オッテルロー © 2023 Collection Kröller-Müller Museum, Otterlo, the Netherlands

オランダに生まれ、パリに出て印象派の影響を受けたゴッホは、南仏のアルルで画家仲間との共同生活を目指す。だが、唯一南仏にやってきたゴーギャンとの口論から自身の左耳を切る事件を起こし、サン=レミの病院での療養を経て、転地先で37歳の若さで亡くなった。

しかし、短い生涯のなかで静物画、風景画、肖像画など多くの作品を精力的に描き、とりわけ画家が主観で描く要素の強い静物画では革新的な実験を試み、独自のスタイルを確立している。

同展は、そのゴッホを西洋美術の静物画の歴史の中に位置づけるものだ。絵画ジャンルとしての静物画は、プロテスタントが台頭した17世紀のオランダで、カトリック教会を装飾する大型の宗教画のかわりに、花や日用品などの現世の事物をリアルに描く小型の絵画が流行したことで成立したという。

その後、20世紀に至るまで、静物画がどのように展開してきたかをたどることによって、ゴッホが伝統から何を学び、それをどのように自作に反映させ、そして後世にどのような影響を及ぼしたのかを探るのが同展の試みだ。

大きな見どころは、国内外25カ所から出展される全69点のうち、ゴッホ作品が25点に及ぶこと。

アルル滞在時にゴーギャンの部屋を飾るために描かれた「ひまわり」連作に関わる《ひまわり》や、サン=レミで描かれた《アイリス》をはじめ、各時代の、そして様々なモチーフの静物画が集結する。ドラクロワやマネ、ゴーギャン、セザンヌ、シャガールらの静物画と比較しつつ鑑賞できるのも興味深い。

なお、同展は、2020年の同館移転後の開館特別企画展として予定されつつも、感染症拡大により中止となったもの。開催を心待ちにしていたファンも多いに違いない。ファン・ゴッホを深く知ることのできる待望の展覧会にぜひ足を運びたい。

開催情報

『ゴッホと静物画―伝統から革新へ』

会期:2023年10月17日(火)~2024年1月21日(日)
会場:SOMPO美術館
時間:10:00~18:00、11月17日(金)と12月8日(金)は20:00まで(入場は閉館30分前まで)
休館日:月曜(1月8日は開館)、12月28日(木)~1月3日(水)
料金:一般2,000円、大学1,300円
※日時指定予約制