撮影:岡千里

林翔太、寺西拓人W主演によるブロードウェイ・ミュージカル「ロジャース / ハート」。9月30日(土)の幕開けを控えた9月下旬、稽古場の模様が公開された。

1997年にアメリカで初演された本作。ニューヨークのブロードウェイで1920年代から40年代にかけて活躍した作詞家ロレンツ・ハートと作曲家リチャード・ロジャースのコンビの栄光の軌跡を描く。

この日の稽古で行われていたのは第一幕の三場で1929年、2人が司会を務めるラジオ番組「ロジャース&ハート・アワー」の収録の模様を描いた場面。予定にはないゲストが飛び入りで歌ったかと思えば、来るはずの大物ゲストが到着せず、慌てて本人になりすました代役を立てて乗り切ろうとするなど、生収録のラジオ番組ならではのドタバタ模様がコミカルに描き出される。

全編を通して実に39曲(!)もの楽曲が歌われるが、このラジオ収録の場面でも次々とヒットナンバーが登場。独身最後の夜を高らかに歌い上げる「This Is My Night To Howl」や彼らの人気と評価を決定づけた名曲「Manhattan」などが披露され、彼らの売れっ子ぶりがわかるシーンとなっている。

続く四場は1932年。2人はハリウッド進出を控えており、ニューヨーク・ハーレムにあるハートの自宅で、ミュージカルの仲間たちを呼んでパーティを開いている。

今年7月に亡くなったトニー・ベネットとレディ・ガガが2011年にデュエットで歌ったことでも話題を呼び、日本でも椎名林檎などがカバーしている、気まぐれな、強く生きる女性像を歌い上げる名曲「The Lady Is A Tramp」をはじめ、ここでも次々とヒットナンバーが登場し、男たち、女たちが入れ替わり立ち替わり、歌とダンスで魅せる。

2018年に本作でロジャースを演じ、舞台初主演を務めた林が今回はハート役で、ロジャースとはまた違った、自由奔放に見えて、どこか心に陰を持つ天才作詞家を演じており、この三場では想いを寄せる女優のペギー(凰稀かなめ)に気持ちを伝えるのだが…。

一方、寺西が演じるロジャースも、女優のドロシー(壮一帆)への恋心を自覚するが、ドロシーのほうは自らの胸の内にわき上がる思いを「恋のはずがない!」と打ち消そうとする。そんな2人が正反対の歌詞で歌うのが「This Can’t Be Love」。続く五場で、ロジャースとハートがしっとりと歌い上げる「My Romance」と共に前半の見せ場となっている。

林、寺西をはじめ、今回から出演となる凰稀、壮ら、実力派のキャストによる名曲ぞろいの上質のミュージカルとなっており、幕開けが待ち遠しい。

「ロジャース/ハート」は9月30日(土)より有楽町よみうりホールにて上演中。その後、金沢・大阪公演あり。