どこまでも自分に可能性がある気がして
染谷「今回に関して言えば、ノセるのがすごいなって思ったな」
二階堂「私を川に落として、口の中に含んだ水を私の顔に思いっきりかけたりするところなんて、すっごい楽しそうだった(笑)」
染谷「すごい楽しかった(笑)。毎日、次は茶沢にどんな攻撃をしかけてやろうかなと思ってた」
二階堂「私もすごくイヤなはずなのに、イヤじゃなくて。茶沢だなって思いました(笑)。それに、どこまでも自分に可能性がある気がして」
染谷「やればやるほどみんな熱が上がっていったし、監督もカットをかけて“悪くない、悪くない、もう1回”みたいな感じで(笑)。あの期間中はみんなアッパーだったよね」
二階堂「私も'11年の5月は『ヒミズ』のことしか記憶にない(笑)」
染谷「ここまで身体を張ったのは初めてだったけど、でも決して誰もそこまでやれとは言ってなくて。俺もそうしようと思ってそうしたわけでもなく、自然と面白いことになっていくことが多かった。園さんが撮影の2日前に急に顔に絵の具を塗ることを思いついたり、ドロだらけになるシーンも、偶然雨が降ってきて、(住田の自宅でもある)ボート屋の裏がドロだらけになっているのを見た園さんが“ここを引きずらせろ!”って言ったから(笑)。でも、あのクレーンを使った長回しのシーンは、観たときにグッときた。1回撮影して、園さんから“満足か? やりたければ、もう1回やってもいいゾ”って言われてもう1回やったんだけど、カットを割らずに大切なところを全部使ってくれていたから、素晴らしい! って思ったんだよね」
二階堂「私はとりあえず、1日1個ずつ傷が増えていった(笑)」
染谷「スゴかったよね(笑)」
二階堂「途中から偏頭痛とかも起こり始めて。染谷くんが後頭部をすごく叩くから」
染谷「俺、悪い人になってる?(笑)」
二階堂「自宅のシーンでは、母親役の黒沢あすかさんにお腹を蹴られて本当に吐きそうになったし(笑)」
染谷「なるよね~。ビックリするよね。俺も父親役の光石研さんにお腹を蹴られて、ウウッてなったよ(笑)」
二階堂「茶沢が草むらを転がるシーンも、最初はスタントマンの男の人がやることになっていて、その人が3回ぐらい転がったのに……」
染谷「そうそう。でも、園さんが“なんか違うな~”って言って」
二階堂「“じゃあ、本人で”って。いま考えると、え?ってなるんだけど、私も当たり前のように“はい”って言って、ゴロゴロ転がっていたんですよね(笑)」
染谷「やっぱり園さんはノセるのが上手いんだよね(笑)」
二階堂「役に浸かり過ぎて涙が出なくなったときも、それでパニック状態になっていたら監督が“茶沢、しっかりしろ!”って、ひと言だけ言って。でも、そのひと言でスイッチがパッと入ったし、ノッかるとすごく気持ちがいいんですよ」
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