撮影:堀山俊紀

善雄善雄が主宰するザ・プレイボーイズの新作『ハロー、妖怪探偵社』が間もなく開幕。そこで作・演出の善雄と、出演者のひとりである橘花梨に話を訊いた。

自身の創作について、「人間の本質を描きたい」と切り出した善雄。さらに「不思議なものと相対した時に、人間の本質って出るような気がしていて。そのために今回は妖怪を題材に、そしてもっといい未来にしていくためにはどうしたらいいのか、といったことまで描けたらと考えています」と、本作の構想を明かす。

橘は脚本を読んだ印象について、「優しい物語だと思いました」と語り、演じる【よーこ】についても、「人の心理的な部分を理解出来る、気持ちを汲み取れるような人物なんですよね。つまり相手の心情がわかりつつ、誰に対しても明るく接することが出来る、そんな優しさも持っていて。とても魅力的なキャラクターだと思いますし、物語の中で救いのある人物になっていったらいいなと思います」と続ける。

物語の舞台は、よーこも入り浸る探偵社。年中閑古鳥の鳴いている状態だが、そこにひとりの大学生がある依頼を持ち込んで……というもの。取材日はまだ稽古開始から3日ほどと日が浅かったが、「手応えしか感じていません」と善雄。「俳優の皆さんが本当に上手な方ばかりで、僕の提案をすぐに受け入れ、やってみせてくれるんです。さらに俳優さん側からもいろいろ意見を出してくれて」と声を弾ませると、橘は「探偵社の4人は、いかに脚本からはみ出してなにが出来るかってことばかり考えていて……」と苦笑い。だが善雄は「いやいやめちゃくちゃありがたいですよ」と続け、「せっかく集団創作しているので、僕の頭の中だけにとどまらず、皆さんに大暴れしていただきたいと思っています」と笑う。

そして本作の大きなカギになりそうなのが、橘も言っていた“優しい物語”だ。「嫌な気持ちとか、悲しい気持ちにはならないと思うので、ぜひ気軽に観に来て欲しいです」とは橘。さらに善雄もこう語る。「劇中でも触れるのですが、本作のひとつのテーマとして、『ホモ・サピエンスは虚構を共有することで今の発展がある』という学説があります。そういう意味でこの作品は、僕が信じたい、こういう未来にもいつか辿り着けるかもしれないといった、本当に優しいフィクションを提示したいと思っていて。そんな物語を、この座組、そしてもちろん劇場に足を運んでくださった観客の皆さんと、共有出来たら嬉しいなと思います」

『ハロー、妖怪探偵社』は11月22日(水)から28日(火)まで下北沢 小劇場B1にて上演。
チケット販売中。

取材・文:野上瑠美子

〈アフターイベント情報〉
11月24日(金)19時「ゲーム王は俺だ!」
登壇:善雄善雄、キャスト全員

11月26日(日)18時「アフタートーク」
ゲスト:こだま(エッセイスト・作家)
登壇:善雄善雄、結城洋平