いよいよ2月7日に開会式を迎える、雪と氷の祭典「第22回オリンピック冬季競技大会(2014/ソチ)」。

2002年ソルトレイク、2006年トリノと2大会連続入賞を果たし、現在も現役選手として競技を続ける村主章枝が、世界最高峰のオリンピックという大会、フィギュアスケートの魅力、日本選手団の活躍について語る。

――オリンピック2大会連続出場を果たされた村主さんから、改めてオリンピックという舞台についてお話しいただけますか?

 

村主 自分が出場した当時は、それほどスゴイものだという感覚はありませんでした。でも、一度離れてみると、やっぱり選び抜かれた選手しか出られない神聖な場。世界選手権などとは全く別ですね。リンクの空気が澄んでいて、きれいで、空気感が違うというか。とってもいい思い出の場所です。ぜひ、もう一度出場したいなと思います。

――どんな思い出がありますか?

村主 私、“お祭り女”で、オリンピックの度にいろいろなハプニングを起こしてきました。ソルトレイクでは本番3日前に転びんで、スケートシューズの刃が太ももに当たってしまいました。皮膚は切れなかったけれど内出血し、選手村の医務室で、注射器2本分も血を抜きました。

――パニックになりませんでしたか?

村主 さすがにその日は大泣きしましたが、泣いてもどうにもならない。「仕方ない。今できることをやるしかない」と自分に言い聞かせました。

4年後のトリノでは、出発する直前の練習中にスケートシューズがスポッと抜けてしまい、刃でアゴを切ってしまいました。縫ったところがつるので、本番前まで上を向けず困りました。そんなときに限って、不思議とまぁまぁの演技ができるんですよね。メダルには届きませんでしたが、2大会とも持っていた力は最大限に出せたと思います。

――世界最高峰の戦いで、村主さんのように実力を十分発揮するのは難しいと思いますが。

村主 あらゆることを想定して準備万端整える。日々の練習しかありません。

――それでも、オリンピックには魔物がいるわけですよね?

村主 私は“魔物”とは捉えずに、“天使”だと思ってずっとやってきました。

――ポジティブに、あらゆることを味方につけるんですね。フィギュアスケートの魅力、おもしろさはどこにありますか?

村主 スポーツでありながら、プログラムを通じてメッセージを伝えることができる。それがフィギュアスケートの一番の魅力だと思います。

リンクに出て、扉をガチャンと閉められたら、あとは一人っきり。隠せない素の自分と言いますか、本当に全部自分が出てしまう。