車離れが進んでいると言われて久しい。そんな逆風の中、自動車メーカーは四苦八苦しているのが現状だ。昔のように車を店頭に並べているだけでは売れない。

しかし、売れている車は売れている。これを解すると、車が売れなくなったのでは無く、「魅力ある車」しか売れなくなったのだ。

そんな中、激戦区の1.6L-2.0Lワゴンタイプで2013年販売台数クラスNo.1(日本自動車販売協会連合会調べ)に輝いた車とは? 答えはスバル『インプレッサ』である。

 

販売店の少ないスバル車が1位になったのは、魅力ある車だから。

スバルの販売拠点は少ない。首都東京の東京スバルでいえば32拠点しかない。対するトヨタは255拠点(中古車拠点除く)と圧倒的販売力を誇る。

そんな中、スバル車である『インプレッサ』がトヨタ車より売れるということは、よほどその車にユーザーが惹かれる魅力があるということに他ならない。

そんな『インプレッサ』のラインナップのうち、1.6リットル 5MTを実際に購入した堀口直樹氏のインプレッションも交えて、ご紹介したい。

 

『インプレッサ』の魅力その1 低振動・低重心の新世代水平対向4気筒BOXERエンジン

堀口さんカップル  拡大画像表示

スバル車を語る上で欠かせないのが、スバルの伝統ともいえる水平対向4気筒エンジンだ。

ピストンの左右対称の動きがボクシング選手のグローブを打ち合わせる様子に似ることから、ボクサー(BOXER)エンジンともいわれるこのエンジンは、一般的なこのクラスに積まれる縦にピストンが動く直列4気筒に比べて、縦揺れがない分室内に伝わる振動も低く、車の部品で一番重いエンジンの位置を低く積めるので、自然と低重心となる。言葉で表すのは簡単だが、高い技術力が求められるため、水平対向エンジンは国内ではスバル(海外ではポルシェが採用)しか商品化に成功していない。

低重心となるとどのような利点が現れるのか。まず重心は低ければ低いほど、カーブを曲がるコーナリング時に安定して操舵することができる。堀口氏によれば、「地面にタイヤが張り付いているような感覚」と評されるほどだ。また、堀口氏の『インプレッサ』は1.6Lエンジンだが、「2.0Lエンジンじゃないか」と錯覚することがあるほど、パワフルということだ。

また、エンジンの吹け上がりも、「狙った回転数にすぐに到達する。マニュアル車ならではの運転の醍醐味は十分に味わうことができる」という。隣に同乗していた彼女さんも、「これならマニュアル車の経験が浅い私でも運転できると思った」とのこと。燃費も13~14km/Lと思ったより走ってくれて、経済的にもうれしいとのことだ。