久々に高い視聴率が記録され、2011年10~12月期の連ドラはすべてが終了した。全話の平均が15%を超えたドラマが5作品以上も出たのは、『花より男子』『危険なアネキ』『野ブタ。をプロデュース』『大奥~華の乱~』『1リットルの涙』などが顔を揃えた2005年10~12月期以来。ということで、まずはその記念すべき結果を、視聴率の順位で振り返ってみよう。(ビデオリサーチ社調べ、関東地区、数字は加重平均値)

家政婦のミタ 25.17% 
南極大陸 18.00% 
私が恋愛できない理由 15.95% 
謎解きはディナーのあとで 15.93% 
妖怪人間ベム 15.61% 
DOCTORS~最強の名医~ 14.81% 
HUNTER~その女たち、賞金稼ぎ~ 10.99% 
ランナウェイ~愛する君のために~ 10.24% 
専業主婦探偵~私はシャドウ~  10.12% 
蜜の味 9.91% 
僕とスターの99日 9.36% 
11人もいる! 8.72%
俺の空~刑事編~ 6.67%


すでに多くのメディアで報告されている通り、『家政婦のミタ』の最終回はなんと40.0%。これは、ビデオリサーチ社が現在のオンライン調査を開始した1977年9月26日以降に放送された作品(NHK朝の連続テレビ小説と大河ドラマは除く)の中で、歴代3位に入る高記録となった。ちなみに、1位は『積木くずし』の最終回(1983年)、2位は『ビューティフルライフ』の最終回(2000年)、同率3位は『熱中時代』の最終回(1979年)。つまり、『家政婦のミタ』の最終回は、今世紀に放送されたドラマでは最高の数字になる。

全話の平均は25.17%。初回は19.5%で、8話以降は30%の大台に乗るかどうかという推移だったので、最終回での40%はさすがに驚きだった。要するに最終回だけ見た人も多かったわけだけど、それだけ話題を集め、注目されたということなので、テレビドラマとしては最高の結果だったと思う。





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『家政婦のミタ』には大きく水をあけられたものの、平均18%で2位に入ったのは『南極大陸』。初回は22.2%と首位発進したが、第5話で13.2%まで下がり、最終回も初回を上回ることはなく22.0%で終了した。それでもすごい数字なのだが、豪華な出演陣、約半年間の撮影、根室の極寒ロケなどを考えると、費用対効果としてはキビシかったかもしれない。ちなみに、2007年に同じTBS日曜9時枠、同じ木村拓哉主演で放送された『華麗なる一族』は、一度も20%を割ることなく、平均24.39%だった。

 







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3位は月9の『私が恋愛できない理由』、4位は櫻井翔と北川景子が共演した『謎解きはディナーのあとで』。どちらもコンスタントに視聴率を取り、固定ファンがしっかり付いている感じだった。毎回の視聴率で15%を割ったのは、『謎解き』が第6話の1回だけ。『恋愛できない』は3回あったが、ラストに生放送を加えるイベントをやって、最終回は初回を超える18.4%を記録した。月9の最終回で生放送を入れたのは、1996年の『ロングバケーション』以来じゃないだろうか。加重平均(放送時間の延長なども考慮した計算)ではなく、単純平均ならこの3位と4位の順位は逆になるが、いずれにしても2作品の数字上の差はわずかだった。



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そして5位は、43年前のアニメをドラマ化した『妖怪人間ベム』。18.9%からスタートしたこの作品は、前半こそ好調な数字を維持したものの、6話以降は15%をなかなか超えなくなってしまった。最終回はさすがに上がるだろうと思っていたら、裏で放送されていたのが、浅田真央も出場した全日本フィギア女子ショートプログラムと高橋大輔が優勝した男子フリー。結局、最終回も14.5%止まりで、平均は15.61%だった。



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この時期になると、各テレビ局は年間視聴率の順位を競って躍起になるもの。最終的に10~12月期のゴールデン・プライムタイムの連ドラ視聴率は、上位5作品が平均で15%を超え、日テレ、TBS、フジ、フジ、日テレの順番だった。

それにしても、なぜ今期はこんなにドラマの視聴率が良かったんだろう。もともと秋ドラマは視聴率が上がりやすい傾向にあると思う。夏ドラマ終了後から秋ドラマスタートまでに改編期のインターバルが長いので、番宣に力を入れることができるし、終盤がクリスマス時期と重なるので、ストーリーを盛り上げやすいという要素もある。でも、やっぱり景気の悪さは影響してるんじゃないだろうか。家でドラマを見るのは一番お金がかからないし……。『家政婦のミタ』の40%は例外だとしても、お金のかからない娯楽を求めた人は多かったと思う。

たなか・まこと  フリーライター。ドラマ好き。某情報誌で、約10年間ドラマのコラムを連載していた。ドラマに関しては、『あぶない刑事20年SCRAPBOOK(日本テレビ)』『筒井康隆の仕事大研究(洋泉社)』などでも執筆している。一番好きなドラマは、山田太一の『男たちの旅路』。