『ストロベリーナイト』や『土竜の唄』など、強い目力と独特の存在感で数々の作品をこなす俳優、遠藤憲一。彼が今回、2月22日公開の映画『劇場版 仮面ティーチャー』で演じたのは主演の荒木剛太(藤ヶ谷太輔)の元・恩師、であり、最強の敵となる、羅門公平役だ。クライマックスには藤ヶ谷太輔と"心"と"心"でぶつかり合う名演を見せる遠藤憲一に、映画の制作秘話と裏話について話を聞いた。
藤ヶ谷くんが思いっきりぶつかってきたので
俺も彼を感じながら全身でぶつかりましたよ
――『劇場版「 仮面ティーチャー」』に、荒木剛太のかつての恩師・羅門公平の役で出演のオファーがあったときはまずどう思われましたか?
「台本を読んだときに、僕のセリフのところに“そんなことしましぇぇぇぇぇぇぇぇん!”って“ぇ”がワ~って書いてあったので、きっとテンションの高い役なんだろうなと思って(笑)。
だから、アドリブで黒板にいきなり“その通り”って書いてみたり、台本に“読めない字”って書いてあったから、“羅門”の文字を重ねてぐちゃぐちゃに書いてみたりしましたね(笑)」
――羅門を演じる上で心がけたことは?
「いま言ったようにテンションの高い役なんだけど、ちゃんと人間として演じなければいけなかったからそこのサジ加減がすごく難しかった。
やり過ぎて人間離れしちゃうと、観ている人も引いちゃうと思うし。特に羅門がちょっとおかしくなっている状態のときに、それでもちゃんとあり得そうな人間として演じるのは大変でしたね」
――羅門はかつて剛太に「信じることの大切さ」を教えながら、その後、自らの理想と信念を打ち砕かれ、生徒たちを「指導」という名の暴力で制圧するようになった人物です。その複雑な内面はどのように受け止められました?
「羅門の気持ちもちょっと分かりますよね。彼はただ生徒を殴っていたわけではないのに、その愛のある拳が誤解され、クレームの時代に入ったために“体罰、体罰”って非難されてしまった。俺も中学のときに、先生に叩かれたことで自分が悪いことをしたなって気づいたことがあるけど、そのときのことをちょっと思い出したかな。俺は間違いをちゃんと指摘されて、その上で叩かれたから恨みにも思わなかったし、親にも言いつけなかった。それが問題になったこともなかったですよね。
でも、その行為を誤解されて、違う!って捉えられると教える方々も大変だなってすごく思いました。羅門はそんな状況の中で、逆に愛情のない暴力で訴えるようになってしまった。悩み過ぎで、ちょっとおかしくなってしまった奴なんでしょうね」
――遠藤さんにも、いま言われたように、かつての羅門のような心でぶつかってきてくれる先生がいたんですね。
「中一のときの体育の先生ですね。イジメじゃないんだけど、ひとりの男の子をみんなで面白がって、いじくったことがあったんですよ。そしたらホームルームのときにその先生から“関わった奴は全員立て”って言われて。それで6、7人並ばされてパンパンパンって叩かれたんですけど、そこでちょっと気づいたというか、それからはそういうことはしなくなりましたよね」
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