嘘がバレるとき
そんな「自分のことが大好きな彼氏」から別れを切り出されたのは、朱美さんの部屋に浮気相手の彼が残したタバコが原因でした。
「彼を泊めたのは、彼氏とのデートの後でふたりで飲みに行って『酔ったから休みたい』と彼が言い出して、仕方なく部屋に連れてきたときでした。
次の日の朝に帰った後でタバコとライターを忘れていることに気がついたのですが、『今度でいいよ』と言われてそのまま置いていたのがまずかったです……」
彼氏が朱美さんの部屋を訪れたとき、ベッド脇のサイドテーブルに置かれたタバコと男物とわかるライターを発見します。
「浮気しているのだろうなと思った」
と彼氏は最初に言ったそうで、驚く朱美さんに
「俺と会っているとき、そわそわしているし『この後誰かと会うのかな』って考えたことがある。
そう聞いたこともあったよね?
いきなりLINEの返事が来なくなったり電話をかけても出なかったり、『友達と会っていた』って言うけど場所とか言わなかったよね?
嘘をつかれているのかもってずっと思っていた」
彼氏は静かに「別れよう」と続けました。
「目を合わせないし見たこともないような顔をしているし、すがっても無理だなってすぐわかりました。
それまでは、この二股がバレてもこの人なら許してくれるだろうってどこかで思っていて。
謝ったけれど、彼氏はそのまま自分のものを持って部屋を出ていきました」
最悪の終わりとなった彼氏との交際でしたが、朱美さんにとってさらにショックだったのは、浮気相手の彼からも遠ざけられたことです。
「彼氏と別れた日に彼に会って、正直に二股がバレて終わったと言ったら『俺のことは知られた?』って、自分の身バレを心配していました。
タバコとライターを見られただけと返したら、ため息をついて安心していた姿が忘れられないです。
『大変だったね』と言ってくれたけど、私がひとりになったと知ってもじゃあ付き合おうとか言わないし、何ていうか本当に軽いのだな、とわかって……」
その後、この男性とはLINEでメッセージを送っても未読スルーになり、電話をかけても出てくれることはなく、そのままフェードアウトになったそうです。