恐怖が始まる…

ひどい煙に、マスクを付ける母親

止まない襲撃に、ついに彼女とその家族は家を離れることを決意。車で移動を始めるも、激化する戦闘にその移動手段も断たれてしまい、ついに車を降りて避難を始める。

街には壊された家々が広がり、投下された爆弾の煙が舞い上がる。両親と街中を逃げ回るも、どこに行ってもそこは戦場なのである。そして、耳に残る銃声音はトラウマ的に止むことはない。その緊迫した戦場下で、女の子の小さな体は何を見つめ、どうその状況を受け止めているのだろうか。

 

消えた笑顔

逃げ続ける生活と、止まない銃声音に彼女の精神と体力はどんどん奪われて行く。 “何者かが常に自分を追って、殺そうとしている”という恐怖は小さな女の子の体には大き過ぎる事実だ。

高架下に身を潜めて息を殺し、隙があれば走って逃げ続ける日々。昼夜を問わず、続くストレスに小さな体は限界を迎える。美しかった髪の毛は抜け落ち、ぬいぐるみを抱きしめ恐怖に震える女の子の姿はとてもショッキングだ。

そうして幸せが毎秒遠退いて行く現実を見た時、わたしたちは最初に彼女が見せていた笑顔すら忘れてしまっているのである。