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『DUNE/デューン 砂の惑星PART2』(3月15日公開)

 その惑星を制する者が全宇宙を制するまでといわれる「砂の惑星デューン」で繰り広げられたアトレイデス家とハルコンネン家の戦い。ハルコンネン家の陰謀により、一族を滅ぼされたアトレイデス家の後継者ポール(ティモシー・シャラメ)が反撃に転じる。

 ポールは、砂漠の民フレメンのチャニ(ゼンデイヤ)と心を通わせながら、救世主として民を率いていくが、宿敵ハルコンネン家の次期男爵フェイド=ラウサ(オースティン・バトラー)が、デューンの新たな支配者として送り込まれてくる。

 『メッセージ』(16)『ブレードランナー2049』(17)のドゥニ・ヴィルヌーブ監督が、フランク・ハーバートのSF小説を映画化し、アカデミー賞の6部門で受賞したSFアドベンチャー大作『DUNE デューン 砂の惑星』(21)の続編。ジョシュ・ブローリン、レベッカ・ファーガソンら前作のキャストに加え、バトラー、フローレンス・ピュー、レア・セドゥらが新たに参加した。

 前作を見た時に「砂漠の景観などのビジュアルの素晴らしさ、独特の質感や色使い、ハンス・ジマーの音楽、地響きがするような音響効果が相まった世界に圧倒される。コロナ禍の影響もあり、小粒で渋い映画が目立つ中、久しぶりに映画館で見ることが必須だと感じられる映画が登場したと言っても過言ではない」と書いた。

 ところが、今回はそれ以上にすごかった。音と映像の迫力に圧倒されて疲れを覚えたほど。気力、体力が充実しているときにもう一度見てみなくてはと思わされた。

 原作が影響を与え、この2作が大きく影響を受けている「スター・ウォーズ」シリーズの旧3部作『スター・ウォーズ /新たなる希望 (エピソード4)』(77)『スター・ウォーズ/帝国の逆襲 (エピソード5)』(80)『スター・ウォーズ/ジェダイの帰還 (エピソード6)』(83)に例えれば、今回の映画は比較的渋い『~帝国の逆襲』に当たるが、終章への壮大な“つなぎ”ということもできる。

 そして、成長著しいシャラメが、あたかもシェークスピア劇をほうふつとさせるような力演を見せ、『エルヴィス』(22)でプレスリーを演じたバトラーが、ここでは強烈な敵役を演じているのも見どころ。

 『ブレードランナー 2049』公開時にインタビューをした時は、まだ初々しかったヴィルヌーブ監督が、こんな超大作を続けて手掛けるようになったことに驚くばかり。一体、第3部はどうなるのか…。

『私ときどきレッサーパンダ』(3月15日公開)ほか

 ディズニー&ピクサーの最新作『インサイド・ヘッド2』の日本公開が8月1日(木)に決定したことを記念して、コロナ禍では配信のみで劇場未公開だった『私ときどきレッサーパンダ』『あの夏のルカ』『ソウルフル・ワールド』のピクサー3作品が、3月15日(金)から順次劇場公開される。

 3月15日公開の『私ときどきレッサーパンダ』(ドミー・シー監督)の主人公は、真面目で頑張り屋のティーンエージャーのメイ。ある出来事をきっかけに感情をコントロールできなくなった彼女が翌朝目を覚ますと、何とレッサーパンダになっていた! さまざまな人々との関係を通して、メイは本当の自分を見つけていく。

 3月29日公開の『あの夏のルカ』(エンリコ・カサローザ監督)の舞台はイタリアの小さな港町ポルトロッソ。この地の住民たちは、海の世界に住むシー・モンスターを恐れていたが、シー・モンスターも地上に住む人間を恐れていた。だが、好奇心旺盛なシー・モンスターの少年ルカは、海の掟を破り、親友となったアルベルトと共に、ポルトロッソへやってくるが、やがて2つの世界に大事件を巻き起こすことになる。

 4月12日公開の『ソウルフル・ワールド』(ピート・ドクター監督)の主人公はジャズ・ピアニストを夢見る中学教師のジョー・ガードナー(声:ジェイミー・フォックス)。マンホールに落ちてソウル=魂の世界へ入り込んだジョーは、地上へ戻る方法を探るため、人間になることを拒み続けるソウルの22番と共に冒険の旅に出る。奇跡の大冒険を経た2人が、最後に見つけた人生のきらめきとは…。

 いずれも、人生の目的や友情、愛について考えさせられる3作。すでに配信で見た人も、まだ見ていない人も、独特の色遣いやキャラクターや背景の造形、印象的な音楽などを映画館の大画面で楽しむチャンスだ。

(田中雄二)