UCHUSENTAI:NOIZ

――ファンの方の熱気もすごいですよね。

ANGEL-TAKA:そうですね。ライブは8割方隊員(NOIZのファンの名称)に助けられてますよね(笑)。いろんな人からも「隊員すごいね!」って言われます。ジェラシーですね…。自分たちの隊員にジェラシー(笑)。

――(笑)。ところで、ヴィジュアル系は海外でライブをやったりリリースをしたりと、クールジャパンの一環みたいな活動をしているバンドも今は珍しくないですが、NOIZはフィリピンの子供たちに歯ブラシを届けたり、学費を支援したりと、実際にコンセプトに見合った活動をなさっている。これはすごいことだと思うんです。

ANGEL-TAKA:最初は"地球の平和を守る"という意識もなかったんです。設定だけというか。でも、活動を続けていくうちに、隊員たちからお手紙を貰って「宇宙戦隊の曲を聴いたら元気が出ました!」とか、そういうお手紙を貰うと「音楽って本当に人助けできるんだな」という意識も芽生えてきたんです。

自分らでもヒーローになれるんだなあという意識が高ぶってきたときに、とあるラジオ番組でフィリピンの状況を聞いたんです。貧しい家庭の子供たちは歯ブラシを買うお金が無いので、フィリピンの貧困区の子の間では子供の内に永久歯を抜かなくちゃならないくらい虫歯がひどいから、「宇宙戦隊として地球の平和を守っているのなら、子供達の歯の平和も守ってくれませんか?」みたいなことを番組で言われたんです。そこで「はい」って返事したのがきっかけなんですけど(笑)。

――きっかけはラジオだったんですか。

ANGEL-TAKA:で、「次からライブの時に歯ブラシ持って来てね!」と言ったんです。それを聞いた隊員たちがライブで歯ブラシを持って来てくれて。当初は貰った歯ブラシは番組の方を通してフィリピンに送ってもらおうと思ってたんですけど、一万二千本も集まっちゃって。

――何年ぐらいで一万二千本集まったんですか?

ANGEL-TAKA:半年ぐらいですかね? いや、そんな経ってないかもしれない。三ヶ月くらいかも。

――すごいですね。

ANGEL-TAKA:こんなに集まってきたら隊員たちの気持ちも大事にしなきゃならないので、「ボランティア団体に預けてはい終わり!」って訳にもいかないし、実際ちゃんと子供たちの手に渡るところも見せたいなって思うようになったんです。

それで、ライブのMCでノリで「俺が持って行くぜ!」みたいなことを言っちゃったんです(笑)。行ったこともない国だから、どうやって渡しに行くかも決まってないんですけど、ライブで言っちゃったんでもっともっと集めていこうってことになって、他のバンドにも「歯ブラシ同盟」みたいな感じで声かけて「一緒に集めてくれませんか?」ってお願いしたら、いくつかのバンドにも助けてもらえて…。

――実際に持って行った時のエピソードも聞かせてください。

ANGEL-TAKA:最初にフィリピンに持っていった時は自分たちのトランク6個にぱっつんぱっつんに歯ブラシ入れて残りは郵送で。空港でも税関を通る時に「なんでこんなに歯ブラシ持ってきてんの?!」って言われましたね(笑)。プレゼントです、「アメニティーグッズです」って説明して。わかってもらえたかはわからないですけど(苦笑)。

――それは大変ですね。

ANGEL-TAKA:怪しいとは思われたかも(笑)。赤外線に通す時も歯ブラシがいっぱい映るわけですから。一緒に行ったスタッフの人がギターとブルースハープも持ってきていて、ブルースハープが入ってる箱も歯ブラシの中に入っていて。

それを赤外線でみたら、ブルースハープの形が爆弾みたいに見えたようで…。「これなんだ!爆弾じゃないのか!?」って飛行場でトランク全部開けさせられて(笑)。結局飛行場の中でブルースハープを沢山の人の前で吹かなくちゃならなくなった(笑)。そんな事件がありましたね…。行く先々でトランクを開けて見せて…ブルースハープ吹いて...歌わされて...(笑)。