――年明けに池袋ブラックホールで1週間無料ワンマンやったじゃないですか。あれもかなり話題になりましたね。手ごたえはどうでした?
ぶう:すごいありましたよ。当初は休日が良くて平日が下がるかなーと思ったんですけど。蓋を開けてみれば、日を追うごとに動員が増えていったんで、これはリピーターが確実に来てるなと。「楽しかったから行こうよ」という風に連れてきてくれる子たちがいるなというのはすごく実感できて、こんな嬉しいことはないですね。辛かったですけど。
でもそれもライブの醍醐味かなって。面白いことができてよかったです。
そういう意味じゃすごく今追い風が吹いてるという感じなので、より新規獲得に向けて動きたいです。
――今年に入ってから、たしかにいろんなヴィジュアル系のイベントに出てますよね。面白いヴィジュアル系バンドの対バンだけじゃなくって、夏に参加される「stylish wave CIRCUIT '14 夏の陣」みたいなヴィジュアル系ド真ん中なイベントにも。
ぶう:対バン見ても全然やり方違うバンドばっかりなんで、そういうとこのお客さんにどうアプローチしていくかとか、そういうことを考えてやると、自分たちも違う方向性のライブができてすごく面白いですよ。普通のこと言っちゃってすみません。…最近普通のことばっか言ってるんです(笑)。
――それはあえてベタに「普通のこと」を言おうって思ってるんですか?
ぶう:あえてベタにっていうわけではないですね。以前は普通のことを普通に言うことが、カッコ悪いし自分らしくないなって思ってたとこがあったんですよ。
例えば人の悪口を言うことで、それで自分のキャラクター付けみたいな、「ボクの味ってこうだろ?」みたいなところを作り出してた部分はあると思うんですよ。まぁもちろん本心なんで、今も言いたいんですけど(笑)。
でもそうやって無理くり味付けしなくても、ボクたちは十分いいバンドじゃんって思ったんでしょ。きっと今まではライブとか音楽だけじゃ勝負しきれないっていう風に無意識的に思ってたんじゃないんですかね。
――なるほど。
ぶう:だからキャラクターで勝負じゃないんですけど、みんなが言っちゃいけない、言わないことを言ってみたりとか。でもふと冷静に考えたら別に対バンに負けてないなと思って、今は別にノーMCで曲だけドカンってやっても勝負できるじゃん、と思ったんで、当たり前のことを言ってもいっかな、あとなるべく棘のある発言というか周りの人が不快に思うことは言わんとこっていう。
――ホントに普通ですね(笑)。
ぶう:そうなんです! 普通なんすよ、ここにきて! まあ最近の子は悪口耐性がないなというのもあるんですけど。
やっぱネットっていうかTwitterとかブログのせいで、みんな悪口を言ってそれを誰かに怒られることを恐れすぎだと思うんですよね。本当は人と人との結びつきなんて「何が好きか」で結びつくより「何が嫌いか」で結びついたほうが面白いと思うんですよ。
――誰もがインターネットというかSNSで発現することによって、そういうところは窮屈になったかもしれませんね。
ぶう:だから「このアイドルの曲っていいよね」って話が出て、そんなんいいに決まってるんすよ。だからそんなので「あたしもいいと思うよ」「あたしも」で繋がったって面白くないというか、「チョコレートっておいしいよね」そりゃそうだよねって話なんですよ。それで「気が合うね」なんて言われたって楽しくないですよ。
むしろ逆に「あたしこのアイドル虫唾が走るんだよね」って言う人を見つけた時の喜びのほうが大きかったりするじゃないですか! もちろんアイドルってのはたとえですけど。
――それはわかってます(笑)。
ぶう:そういう時にやっぱね、「あたしと同じ悪口言ってたあの子! 超気が合う!」っていう結びつきってすげぇ面白くて、すごいコアでいいと思うんですよ。
でも最近は何か「あたしも本当はそう思ってるけど、あんな悪口言っちゃう人無理」みたいな、「あんな過激な人はちょっとついていけない」とかそれ何なんですかね?
なんていうかSNSを通して全然自分のこと知らない人たちから、自分の意見を監視されてるような気持ちになっちゃうんでしょうけど、別にそんな良く分からない奴のことなんて無視して、もっと目に見える手で触れる手近なとこの奴と想いを共有するほうがボクは面白いと思うんですけど…。時代の流れに逆らえずにボクもピースフルになることにしました。