――時代に負けたんですか。
ぶう:悔しいですが時代に負けまして。ネットとヴィレッジヴァンガードに負けました。
――ヴィレッジヴァンガード?
ぶう:逆に聞きたいんですけどヴィレッジヴァンガードってどう思います?
――ヴィレッジヴァンガードがいわゆる「サブカル」の敷居を下げたってところはあるんじゃないですか。昔は店舗数も少なかったですけど、今は全国各地のショッピングモールに百店舗以上ありますし。
ぶう:やっぱりヴィレッジヴァンガードが無かった時代って、数少ない同じ趣味を共有した人たちが情報交換しあって「あれいいよ、これいいよ」とか、あと自分でジャケ買いしたり、ちょっと興味持って好きなアーティストが好きだったものを、調べて掘り下げたり探していったりして、自分とマッチするものを見つけた喜び、そして「それを見つけたあたしどうよ」っていう誇りがあったと思うんですよ。
――はい。
ぶう:自分より上のサブカル者を見た時の「うわ! かっけぇ! この人」って感覚も、今はヴィレッジヴァンガードに行くと簡単に手に入ってしまいすぎて、見つける過程も大事だろと。
また悔しいのはあれですよね、ヴィレヴァンに通い詰めてる人たちと知識で勝負したところでどっこいかむしろ負けてるわけじゃないですか。その時に妙に悔しいんですよね。チックショーと(笑)。
――サブカル的な文化を消費するときに屈託がなさそうのがちょっとイラッとするってことですよね。かつてはそういうものを持ってるだけで教室で「うわー何これ」ってクラスの人に言われたりしてたわけじゃないですか、それが今は「あー、ヴィレヴァンで見たーYouTubeで見たー」って言われたらね、モノは一緒なのにねってという感覚はわかります。
ぶう:だから本当はYouTubeにも動画のせたくないんですよ。でもネット見てたって「えんそくはYouTubeに動画のせてないことが逆にカッコいいですね!」とか言われないじゃないですか。
――そう思う人はわざわざ自分の意見をネットで発信しないんじゃないでしょうか。
ぶう:じゃあそういう人の存在を信じて貫いたほうがいいんですかね?
でもファンレターでもそういう意見はないし、だからもう時代に迎合してボクたちも、もっとお手軽になっていこうと思います。
――それがイヤっていうファンの人もいるんじゃないですかね。全方位にツッパってるえんそくが好きだったのにという人も。
ぶう:そうでしょうね。ボクが逆の立場だったらそう思うだろうし、
そういう子はかならずいると思うんです。でもそんな子たちを「えんそくやっぱり曲いいしライブ楽しいし」って思わせるようなことはやっていると思うんで。
でもボクらのが中身や楽曲が変わったわけじゃないんで。今は誰かれ構わず自分たちの良さをわかってもらおうというスタンスでやっています。
アグレッシブにやっていきたいし、ピースフルでいきたい。
――そういえば最近色んなイベントに出てる一方で、花少年バディーズ、サウイフモノ、Jin-Machineやマイナス人生オーケストラたちとの2マンライブも積極的にやっていますね。
ぶう:そうですねー、仲いいバンドも少ないんで、性に合わないかと思ってたんですけど、やってみたら楽しいですね。
――それがきっかけで仲良くなったバンドはいますか?
ぶう:そうですねー。マイナス人生オーケストラなんて最初は気にくわねえ連中だなあと思っていたんですが、今は仲良くやっていますね。
――あれ? ピースフル…?
ぶう:今のはね! 最終的にフォローしたから大丈夫ですよね!
っていうかですね、「気に食わねえ」って思うバンドはいいところがあるからなんですよね。嫉妬みたいなのも相まってというか。何にも思わないバンドなんて嫌いにもならないじゃないですか。
なので僕がこれまで悪口を言ったことのあるバンドはすべて愛情の裏返しや嫉妬の裏返しでもあると。
――はい。