アニメーション『映画 きかんしゃトーマス 大冒険!ルックアウトマウンテンとひみつのトンネル』が4月19日から全国公開される。本作で、ゲスト声優として、リサイクル工場で発明をしている機関車のウィフを演じたディーン・フジオカと、トンネルを掘るドリルが自慢の掘削機のダーシーを演じたやす子に話を聞いた。
-ディーンさん、声優は今回が2度目で「もう1回やってみたかった」とコメントしていましたが。
そうですね。なかなか声優の仕事が来なくて、もう声優生命もこれで終わりかと思っていましたが(笑)、今回このようなありがたいお話を頂きました。だから「待ってました!」という感じです。ついに返り咲きました(笑)。
-オファーを受けた時はどういう気持ちでしたか。
これだけ長い間国際的に親しまれている、愛されているトーマスと仲間たちのプロジェクトに参加させていただくということは、声優として売れたなということです(笑)。声優としてはまだ2作目なのですが、ついに声優のキャリアが軌道に乗ったかなと。
-やす子さん、今回の仕事はどういう気持ちで受けましたか。
まず、世界中で愛されているトーマスさんっていうのが大きかったですね。でも、最初のせりふが「はい~」だったので、ひょっとしてドッキリなのかもしれないという不安もありました。でも、録っていくうちに、本格的にアドバイスを頂いたりしたので、本当にトーマスの映画のキャラクターを演じられるんだと思いました。その代わり、今度はドキドキして、プレッシャーも大きかったです。責任感というか、自分みたいなペーペーが出ていいのかという気持ちもありました。
-しかも重機つながりの役でした。
はい~。実際にブルドーザーを運転していたのでうれしかったです。恐れ多いです。ありがとうございます。
-演じる前のトーマスのシリーズについてのイメージと、実際にその世界に入り込んでみて感じたことをお願いします。
やす子 もともと持っていたイメージはこれは男の子が好きなのかなという感じでした。実際にその世界に入ってみると、こんなに仲間思いなんだ、こんなに個性豊かでいろんな種類がいるんだということを知りました。機関車しかいないのかなと思っていたら、掘削機や修理係や超特急もいて。トーマスの世界をちゃんと知ることができて、改めてこんなに魅力的な世界なんだと思いました。
ディーン 僕も、このシリーズにはちょっとシュールなところがあって、「今の間(ま)って何だったんだろう?」みたいに考えさせられるというか、引き込まれているのか突き放されているのかよく分からない感じがしていました。そういうトーマスに対する忘れられない強烈な体験があった上で、今回は、リニューアルした今はかわいくて、見つめられると目が離せなくなってしまう。やっぱり笑顔ってすてきだなと思いました。
-今回、アフレコで気を付けたところや、苦労したことや楽しかったことはありましたか。
やす子 本作はアメリカとカナダの映画なので、リアクションを大きくと結構言われたんですけれども、声だけでの感情の付け方が全然分からなくて、それがすごく難しかったです。今回は、最初からディーンさんの声が入った状態で進めさせていただいたのですが、ディーンさんだと気付かないぐらいお上手だったので、それを参考にというか、こういうふうにやると喜んでいるように伝わるんだとか、勉強しながらやった気がします。
ディーン 声優の仕事は、例えば、俳優としてアフレコをやったり、もしくは歌い手として歌を入れるのとはまたちょっと違うアプローチだと思っています。でもやっぱりそういった他の業種での経験も生きてくるような、すごくいい距離感のものだなと。今回は、最初に原語のせりふを聞かせてもらって、なるべくそのキャラクター像を崩さずに、これが日本語での人格だったらどうなるんだろうということを意識しながら、いろいろとトライしました。特にウィフは、SDGsというか、スクラップを新しい物に代えていくというキャラクターなので、やっていることは素晴らしいけど、アプローチの仕方によっては説教くさくなってしまって、伝わるものも伝わらなくなってしまうと思ったので、難しいことはあまり考えさせないような存在になったらいいと思いました。そこはすごく出せたような気がします。
-やす子さん、今回演じたダーシーというキャラクターについて、どういうところに魅力を感じましたか。
ダーシーは仕事が大好きで、力を出し過ぎていろんなものを壊しちゃったりもするんですけど、全力で真っすぐです。そこにすごく引かれました。 自分も仕事が好きで、力が入り過ぎていろんなものを壊したりもするので、共感できる部分が多かったです。あとは、仕事で疲れている人がダーシーを見ると、どうしてこの職業に就いたのかとか、改めて思い出して、初心に戻って仕事を頑張れそうな気がします。今回は歌も歌っているので、ぜひ聴いていただきたいなと思います。
-ディーンさん、ウィフについてはどう思いましたか。
ディーン 最初に、ウィフがどういうタイプの機関車なのかというのを検索したら、「タンク機関車」だと。タンク機関車って小回りが利くんですよ。それに機転も利く。そのままだったらゴミになったようなものに新しい価値を見いだすウィフの存在は素晴らしいと思います。われわれが今必要としている発想の転換みたいなものを象徴しているキャラクターだと思いました。丸い眼鏡がトレードマーク。物知りでかっこいいですよね。
やす子 トーマスの世界に、ゴミになってしまったものから新しいものを作り出すという、SDGsやリサイクルという概念が出てきた驚きと、使えなくなったものも再利用することができるんだということを、子どもたちにも分かりやすく、優しく伝える方法があるんだなって思いました。
-最後に映画の見どころも含めて観客にメッセージを。
やす子 元気いっぱいのダーシーを見ると、自分も頑張ろうって思います。頑張り過ぎることで外の世界が見えなかったりもしますが、そこをトーマスたちが助けてくれるので、やっぱり人との関わり方を大事にしていきたいなと思えます。あとは「大大大冒険」というぐらいですから、大人が見ると、年齢とかに関係なく冒険してもいいんだと思えるような、すてきな映画だと思います。はい~。
ディーン この作品は、世代を超えての共通言語というか、メタファーになるような、世界観をつなげるような物語になっているので、ぜひ年齢を問わず、ご家族で見て楽しんでいただければと思います。
(取材・文・写真/田中雄二)