両作品とも延長の可能性はアリ

ただ、序盤は謎が多い『MOZU』も、少しずつ謎が明かされていけば、内容的に目が離せない状態になるはず。百舌の正体や事件の背景がわかってくれば、初回から見直したくなるような伏線もいろいろと仕込まれている。美希(真木よう子)の過去や、象徴的に描かれているダルマの存在など、ドラマのオリジナルな部分もおそらく内容に厚みを加えてくれるはずだ。

喫煙シーンは確かに気になるところだけど、全体的な映像はしっかりと作ってあるので、見応えがあることには変わりがない。もう少し我慢して見続けてもいいんじゃないだろうか。
 

『BORDER』に関しても、単に一話完結ものとして楽しむだけでなく、今後は主人公の変化も見どころになりそう。

金城一紀の原案・脚本のドラマといえば、岡田准一が主演したフジテレビの『SP 警視庁警備部警護第四係』が有名だけど、あのときの演出で劇場版では監督を務めた波多野貴文が『BORDER』にも参加している。もしかしたら『BORDER』も評判が良ければ映画化されるかもしれない。

いずれにしても、今期の木曜9時は、この『MOZU』と『BORDER』がかぶっているのが、非常にもったいない。それくらい、どちらも見て損のない作品だ。

喫煙シーンがつらければ『MOZU』の視聴はむずかしいだろうけど、『MOZU』シリーズの原作はWOWOWで放送予定の「幻の翼」以降もまだ残っているので、今から外してしまうとあとで後悔してしまうかもしれない。できれば録画して、両方ともチェックしておきたいところだ。

 

 

たなか・まこと  フリーライター。ドラマ好き。某情報誌で、約10年間ドラマのコラムを連載していた。ドラマに関しては、『あぶない刑事20年SCRAPBOOK(日本テレビ)』『筒井康隆の仕事大研究(洋泉社)』などでも執筆している。一番好きなドラマは、山田太一の『男たちの旅路』。