1997年の『FUJI ROCK FESTIVAL』開催を皮切りに、日本で一気に広まった「音楽フェス」。

当初はロックを中心とした「ロックフェス」が主流だったが、しだいにその概念を飛び越え、現在では夏の一大レジャーとして広い世代に支持されている。

なぜ現代人はフェスに夢中になるのか? 人を惹きつけるフェスの魅力とは何なのか?

今回はウレぴあ総研でも「V系は『黒いディズニーランド』!? マキタスポーツが語る"V系"論」で独自のV系論を披露するなど、鋭く個性的なカルチャー批評でも知られる芸人のマキタスポーツ氏にインタビュー。

自身も観客として、またオーガナイザーとしてフェス参加経験を持つマキタ氏に、フェスの現状と未来について話を聞いた。
 

「観客」は、みんな馬鹿になりたがっている?

――マキタさんは、近年のフェスをどのように見ていますか。

マキタ:フェスの観客の動員は右肩上がり。だけど音楽自体、CDのセールスは下火になっている。だから音楽が流行っていると言うよりも、お祭りをみんなが求めている傾向が強いのかなと思いますね。

お祭りが嫌いな人はそうそういないし、古来から祭事には音楽があったわけで。そう考えると原点回帰しているのかもしれないですけど。メインとなる客層は、神格化されたアーティストを見に行く、というわけじゃない。主役は観客で、演奏者はかつてのハコバン的なものになっている気がします。

――主役の人達を盛り上げるためのバックバンド化ですね。

マキタ:芸人仲間でDJをやっているダイノジの大谷くんとかやつい(いちろう)がいますけど、彼らがフェスでかけると、ブースに1万人くらい集まってくるんです。ついさっきまでELLEGARDENがすぐそこで演奏してたのに、ELLEGARDENの曲をDJがまた流すと、信じられないくらい盛り上がったり。そこに生身の演奏があったこと、バンドと客が生の音楽を共有したことは、もはや関係ないですよね(笑)。

もっとダイジェストに、まとめサイト的に、DJが盛り上がる曲を流してくれることを求めている。だからお客さんは保守的になってきたと思います。あと、馬鹿になりたがってる、という感じもすごくしますけど。