戻らない安定

「不倫しているときは、人に見られたらまずいって不安もやっぱりあって、余計に彼から求められる自分に酔っていた気がします」

と梓さんがはっきり言うのは、独身男性である彼氏とのお付き合いでは当たり前のことが不倫ではそうならない、という後ろ向きな気づきであって、その刺激も強かったのだと感じます。

彼氏との関係は淡白だけど安定していて、だから浮気ができた理由でもあります。

一方で、その不倫が終わった後でその安定に満足できなくなったのは、もしかしたら、以前から彼氏との交際に不満があったのでは、とも思います。

「彼氏がいても、自分の時間を大事にしたいです」

と話す梓さんは、それまでは読書やジム通いなどの趣味にも時間を使っていましたが、不倫をするようになってからは、その機会まで不倫相手との逢瀬につぎ込むようになりました。

それができるのは、「本当に自分の時間を大事にしたい」姿勢とはいえず、結局は自分と過ごすことを求めない彼氏を見ての言い訳だったのではないでしょうか。

彼氏との関係で安定が戻らないのは、一度「自分を強く求めてくる男性との密度の濃い時間」を経験したことで、その人との関係が終わっても引き続きその刺激を浴びたい気持ちがあるのでは、と感じました。