ウレぴあ総研をご覧の女子の皆様、「官能小説」はお好きですか?
この数年で女性の書き手による、女性のための官能小説は、ものすごく増えました。
ハードで生々しい男性向け官能小説とは一線を画し、リアルで共感できるストーリー展開に加えて、女性ならではの繊細な感情が描かれているのが特徴です。
また女性作家が描く官能小説は、リアルな女性が登場し、様々なシチュエーションを舞台にしており、エロのあり方も非常に多様であるように思います。
大人の女性向け官能小説レーベルは続々と創刊され、さらに電子書籍の分野でも官能小説は盛り上がりを見せる昨今ですが、今回は「本屋さんで普通に買える書籍」にスポットを当てて、特におススメの「女子とエロ」をテーマにした小説を、筆者の独断と偏見でご紹介したいと思います。
「女による女のためのR-18文学賞」
日本の女性向け官能小説の盛り上がりの先陣を切ったとも言えるのが、今から10年以上も前に「女性の書き手による性をテーマにした小説」(※1)の募集をスタートした、選考委員も読者ターゲットもすべて女性と言う文学賞である「女による女のためのR-18文学賞」です。(※1……第11回からは、募集作品を「女性ならではの感性を生かした小説」と定めています。)
R-18文学賞出身の書き手の活躍は目覚ましく、例えば第八回に大賞を受賞した窪美澄さんの受賞作「ミクマリ」を収録した『ふがいない僕は空を見た』(新潮社)をご存知の方は多いのではないでしょうか?2012年に映画化もされ、第24回山本周五郎賞も受賞しています。
「ミクマリ」は、人妻と男子高校生のコスプレセックスというかなり衝撃的なシーンで始まります。しかし、そこには「性」だけではなく「生」も描かれています。姑に不妊治療をせまられる女性や、助産院を営みながら、女手一つで息子を育てる母親たちが登場し、様々な立場の人の視点から、社会生活やその裏に隠されている問題や感情まで描ききっている所に惹きつけられます。