【家電量販店とまちデータ・3】「住みたい街ランキング」の上位に入る街(駅)・自治体には、多くの場合、駅前の繁華街や市内のロードサイドなどに家電量販店がある。近年、リニューアルしたGMS(総合スーパー)や駅ビルの一角に家電量販店が出店するケースが増えており、一見、出店過剰に見えるが、実は東京都は人口10万人あたりの店舗数が少なく(1.55)、47都道府県中ワースト1位なので、今後も新規出店が続くだろう。連載第3回となる今回は、その東京都に絞って見ていこう。

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東京は23区だけじゃない! 26市3町1村の「多摩」に注目!

連載第1回と同じ集計データによると、東京都内にある主要家電量販店(オンラインショップは含まない)の店舗数は209で全国3位の多さだ。ただし、人口10万人あたりの店舗数は全国平均の2.94を下回り、店舗数の少なさを、ヨドバシカメラ、ビックカメラ、LABI(ヤマダデンキ)といった都市型家電量販店がカバーしている状況だ。

チェーン店舗別でみると、1位ノジマ、2位ヤマダデンキ、3位コジマ(コジマ×ビックカメラ)、4位ビックカメラ、5位ケーズデンキ、6位ヨドバシカメラの順だった。コジマとビックカメラをあわせて「ビックカメラグループ」として集計すると、4位以降、順位は一つずつ繰り上がっていく。

ノジマのウェブサイトの「新店舗案内」によると、2023年6月から24年6月までの1年間にノジマは計15店舗が新規にオープンした。そのうちの3店舗(イトーヨーカドー四つ木店・グランディオ立川店・イトーヨーカドー小岩店)は東京都内の新店舗で、他県も含め、イトーヨーカドーへの出店が目立つ。

ところで、東京都は「市」がかなり多い。全て挙げると、八王子市、立川市、武蔵野市、三鷹市、青梅市、府中市、昭島市、調布市、町田市、小金井市、小平市、日野市、東村山市、国分寺市、国立市、福生市、狛江市、東大和市、清瀬市、東久留米市、武蔵村山市、多摩市、稲城市、羽村市、あきる野市、西東京市となり、まとめて「多摩」や「東京市部」などと呼ばれる。

東京都内店舗数3位のコジマ(コジマ×ビックカメラ)は、郊外型のイメージが強いが、多摩(東京市部)に加え、23区内にも数多く出店している。23年7月には、東京臨海副都心エリア最大級の売り場面積となる大型店「コジマ×ビックカメラ 有明ガーデン店」(江東区)をオープン。また、22年4月にオープンした「コジマ×ビックカメラ KAMEIDO CLOCK店」(江東区)は、駅前再開発で誕生した住商一体の複合商業施設「KAMEIDO CLOCK」のキーテナントの一つとなっている。

一方、東京都内店舗数5位のケーズデンキは、都内14店舗のうち、23区内はわずか4店舗(足立一ツ家店・足立竹の塚店・足立店・西葛西店)にとどまり、残り10店舗(昭島店・イオンタウン稲城長沼店・稲城若葉台店・青梅店・立川店・多摩ニュータウン店・八王子店・東久留米店・府中本店・多摩東寺方店※2024年9月1日閉店済み)は多摩地区にある。

東京都内店舗数2位のヤマダデンキは店舗数が多いので、都市型店舗・次世代型店舗の「LABI/Tecc LIFE SELECT」のみピックアップすると、池袋・東京八重洲・新宿西口・品川大井町・自由が丘・渋谷・立川・吉祥寺の8店舗のうち、多摩地区2店舗、23区内8店舗と、23区内のほうが多い。多摩地区の立川・吉祥寺も「住みたい街ランキング」上位の常連であり、ヤマダデンキ「LABI/Tecc LIFE SELECT」は、人気の街に絞って出店しているようだ。

「018サポート」効果で子育て世代の都内移住が進む?

SNS上では、0歳から18歳に達する日以後の最初の3月31日まで、都内在住の子どもに月額5000円を支給する東京都独自の子育て支援策「018サポート」が注目を集めている。23年度にスタートし、今年で2年目。この支援金は居住地を問わず一定額を支給するので、「018サポート」をきっかけに東京都内に移り住むなら、より家賃水準の安いエリアを選んだほうがお得だ。そうしたエリア選びの目安として、ケーズデンキとヤマダデンキ(ブランド問わず)の両方が出店しているエリアをおすすめしたい。要するに多摩エリアや足立区周辺である。

次回は、自虐的な内容で第1弾・第2弾ともヒットした映画「翔んで埼玉」で全国的な知名度を上げ、「SUUMO住みたい街ランキング2024 首都圏版」では、過去最高となる2位に「大宮」が入った埼玉県を取り上げる。(BCN・嵯峨野 芙美)

※本記事の「家電量販店」の総数は、家電量販店各社のウェブサイトに2024年6月末時点で記載されていたデータをもとに独自に集計したものです。7月以降の新規開店・閉店は反映しておりません。