アイソーポスが考え出した寓話、『イソップ物語』。子どもの頃に、親から読み聞かせてもらった人も多いのではないでしょうか。たとえば、「アリとキリギリス」「北風と太陽」「ウサギとカメ」これらの有名な作品は教訓を謳ったものが多く、その数はおよそ400にも上るといわれています。
一説によると、アイソーポスが当時の政治や社会風刺を描いたものといわれており、主人公のウサギとカメも北風と太陽も、すべては“ある人間のタイプ”を置き換えて作られたものだとか。いまでこそ子供向けの童話として親しまれていますが、大人になって目を通してみると、またひと味違った見方ができそうですね。
そこで今回はこれらイソップ物語の中から、実際にいくつかの話をピックアップ。人間関係の基礎になりそうな教訓を学びながら、そこから仕事、恋愛、周囲との関係を円滑に進めるためのヒントを分析してみましたので、さっそくご紹介しましょう。
苦手なことを避けるとますます自分を苦しめてしまう?
まずは「塩を運ぶロバ」の話から。忘れてしまった人のために説明すると、重たい塩を背負わされたロバが、あるとき川を渡る際にうっかり転んでしまいます。すると、ロバの背中に乗せられた塩がたちまち川に流れて、ロバの荷物は一瞬にして軽くなりました。
この出来事に味をしめたロバは別の日、同じく川にさしかかったとき、今度はわざと転んでしまいます。しかし、今度の荷物は塩ではなく、その中身は海綿でした。川の水を吸い込んだ海綿はみるみる膨らんで、何倍も重くなって苦労してしまうというお話です。
この話の教訓は「ズルいことをすると、いつか自分に報いが来る。そんなに上手い話や出来事は、そう何度も続かない」といったところでしょうか。実際、ロバに背負わされた塩は、そのまま仕事に当てはめて考えることができそうです。
それこそ単調でつまらない仕事だったり、話の合わない同僚だったり、給料が安かったり。だからといって仕事をすぐに辞めてしまっては、次に働く場所でも同じように理由をつけて辞めてしまうとも限りません。
一度辛いことから逃げてしまうと、人はそれが癖になって逃げたいと思ってしまうもの。誰しも心当たりのある話題だけに、いま仕事で悩んでいる人は問題を真正面から受け止めて解決しようとする心持ちと勇気だけは、忘れないようにしたいですね。