気軽に髪型の変化を楽しめる美容技術の「パーマ」。美容院でウェーブなど髪に矯正を施す際、全国的には「パーマをかける」と表現するイメージが強い。しかし関西では「パーマをあてる」という言い方をする人が多いよう。なぜ表現に違いがあるのか、詳しく見ていこう。
え!? 標準語じゃないの!? 関西で使う「あてる」はパーマの歴史から?
パーマを「あてる」の表現は関西では一般的なようで、標準語だと思っている人も多いようだ。ネット上では「東京でパーマをかけるっていう言い方しててびっくりした!」「あてるって他の地域で通じないってほんと!?」と驚く声も上がっている。
日本のパーマの歴史は昭和初期からと言われており、当時主流だったのが熱した器具を髪に「当てて」パーマをかける「電髪」。現在はパーマ剤と呼ばれる薬液を用いられることが増えたが、当時は電気の熱を当てて髪の毛を縮ませたり、巻きぐせをつけたりするのが一般的だった。
その施術方法からも、関西の「あてる」の方が歴史には沿っているとも言える。そのため「あてる」派は若者よりも年配の人に多く、「関西でも年配の人の方が『あてる』っていう率が高い気がする」「『あてる』って表現、昭和っぽいかな」「関東だけど、母親は『あてる』って言ってたよ」という声も。
「あてる」を使った派生表現には、パーマがかかりにくい髪のことを「あたりにくい髪」と言い、パーマをしに美容院に行くことを「今日あててくる」と言うことも。パーマを「あてる」の表現に馴染みがない人には通じにくいこともあるだろう。
ほかにも髪に関する用語の中で、呼び方が複数あるのが「理髪店」。関東では「床屋」といい、関西では「散髪屋」と呼ぶことが多く、東海地方や近畿地方を境に、西と東で呼び方が分かれている。美容院と同じように、「理容院」や「理容室」と呼ぶこともあるようだ。
パーマに関する呼び方の違いと由来について説明してきたが、この機会に「あててくる」のもいいかもしれない。(フリーライター・井原亘)
■Profile
井原亘
元PR会社社員の30代男性。現在は流行のモノや現象を追いかけるフリーライターとして活動中。ネットサーフィンとSNS巡回が大好きで、暇さえあればスマホをチェックしている