――訪れる人にとっては、毎回情報が変わっているというのは何回も訪れたくなるきっかけになりますよね。特にお気に入りの展示や、サイエンスエリアのどういったところに注目して欲しいですか?
宮本:お子さんやあまり詳しくない人には火星を再現したコーナーです。火星のパノラマ映像と、火星のローバー(探査車)と一緒に写真も撮れて、火星の石を触ったら火星に行った気分になれますよ。
僕はアリゾナに住んでいたんですが、この火星の風景が、地球のアリゾナそっくりなんですよ。地球にしか思えない風景なのに火星だという不思議さを味わってもらいたい。
もうちょっと詳しい人は、イトカワのコーナーですね。高解像度画像を撮ったはやぶさのチームに僕も携わっていて、僕自身もあの画像はすごく思い入れのある画像なんですけど。
ここでは実際のイトカワの大きさとまったく同じ大きさで印刷して展示してあるんです。だから、本当に実寸のイトカワがそこにあるんです。
これが興味がある人には面白くて。鏡のギミックがあって、鏡越しに見るとちょっと切り立った岩場みたいに見え、実際は石が転がり落ちるはずなのに落ちずに、切り立ったところに石が置かれている、異常な風景に見えます。
その異常に見える感覚こそ、我々がイトカワに行って、発見した感覚なんです。
重力が1万分の1Gしかなくて、表面に石なんかあるはずがない、ひとつの大きな岩、これこそがイトカワという小天体だとみんな思っていた。でも実際に行ってみたら岩だらけだった…。そのリアルな驚きを、鏡のギミックで体験できるので、ぜひ味わっていただけたらな、と思っています。
――サイエンスエリアのリサーチセンターにいるのはどんな方たちなのでしょうか?
宮本:僕の研究室として採用したトップレベルの研究者か、東大の大学院生で、みんなそれぞれ宇宙について専門性をもっています。NASAの職を断って来た人だとか、長くアメリカの研究所で研究していた人だとか、自分で言うのもなんですが、すごく有能な研究者が集まった、とても良いチームです。
――今後の研究課題などがあれば、教えてください。
宮本:たくさんあるんですが、隕石と小惑星とを対応付けることが僕は大事だと思っていて。そこに関連したはやぶさ2のためのデータ解析だとか、それ以降のはやぶさ3やはやぶさ4など、そういったものの立案の基礎研究というのを軸としてやっています。
あとは火星探査ですね。火星のデータ解析を主にやっていますが、今NASAが打ち上げようとしている探査機計画に若干我々は関連しています。
また日本でも火星探査をやろうという話があって、そのコアメンバーなので、それに関連した仕事をしていますね。特に僕らが興味を持っているのが、火星で生命を探すこと。どこの場所に行って、どういう実験をするのが火星生命発見に近づくか、というあたりの研究をやっています。