現在、世界のダンスシーンでもっとも注目されている振付家シディ・ラルビ・シェルカウイ。最新作『テ ヅカ TeZukA』は、以前から手塚治虫の世界観に読者として共鳴し、大ファンだったというシェルカウイが手塚へのオマージュとして創作したダンス作品。手塚を愛し、研究したことから日本の文化や生活にも影響を受け、そのイメージを『テ ヅカ TeZukA』に込めた。昨年9月に、世界初演となるロンドン公演を終え、今年は東京公演を含めた海外ツアーが予定されている。また、2月6日(月)のローマ公演からは俳優の森山未來が出演を予定している。森山の印象や、本作品に込めた思いをシェルカウイに聞いた。
「未來は本当に才能豊かな人。3年前一緒にワークショップをやった時から、体の記憶力が優れているだけではなく、動きに求められているエネルギーを毎回新しく生み出せる人だと思いました。また、彼は子供の頃から手塚治虫を知っていて、手塚作品とともに育っています。手塚作品とのリアルなつながりを彼が持っていることが僕の作品にも活かされています」と森山のダンサーとしての魅力を語った。
手塚がシェルカウイに与えた影響は?「手塚作品の“両側をみる”という考えに深く感銘を受けました。善悪で物事を決めるのではなく、両方を理解するという捉え方ですね。良い例が『鉄腕アトム』。アトムは、ロボットと人間の心という異なる性質を持ちながら、一歩進んで互いを理解するにはどうしたら良いかを常に考えているキャラクター。特にヨーロッパでは善悪をはっきりさせたがる傾向を感じるので、刺激を受けました。また、手塚作品では自然の力に対する畏敬の念や自然の脅威が描かれています。これも西洋ではあまり無い考え方です。日本は自然に対する謙虚な心が常にあり、生活にも現れています」 。
東京公演は2月23日(木)から27日(月)まで東京・オーチャードホールで上演される。チケットは27日(月)の追加公演分を発売中。なお、森山が出演する海外ツアーはローマの他、香港、ニュージーランド、ルクセンブルクを予定。
※手塚治虫の「塚」は旧字。