GOOD-BYE青春(1983年9月1日リリース シングル)

数少ない他者による作詞曲で、秋元康の手によるもの。共通項がないように見える二人だが、放送作家としてラジオ番組『長渕剛のオールナイトニッポン』に関わっており、葛城ユキやシブがき隊など、この頃の長渕の外部提供楽曲には秋元作詞のものが多い。

『GOOD-BYE青春』とは「遅すぎたフォークシンガー」とも言われた長渕のスタイルをおさらばするという意味合いがあったとかないとか。テレビドラマ『家族ゲーム』での破天荒な家庭教師を演じる俳優業も話題となり、主題歌として大ヒットするものの、アルバムには収録されておらず、ライブで演奏されたことも少ない。
 

ろくなもんじゃねえ(1987年5月25日リリース シングル)

テレビドラマ『親子ゲーム』『親子ジグザグ』で見せた不器用ながらも子供と向き合うチンピラ兄ちゃん、印象的だった髪形「キクラゲ」なんていう愛称もすっかりお茶の間に定着。バイクに見立てて自転車で河川敷をひた走れば、今日からおれも下別府勇次。子供から大人まで、猫も杓子も明石家さんまも「ぴいぴいぴい〜♪」なんて歌ってたんだ。

 

とんぼ(1988年10月26日リリース シングル)

元プロ野球選手の清原和博のテーマソングのイメージも強いが、やっぱりなんと言っても小川英二。テレビドラマ『とんぼ』におけるその姿は良くも悪くも「長渕=ヤクザ」なイメージを決定づけた。

「ツネぇ〜!」「石橋ゴラァ!!」なんて長渕キック炸裂で耳まで切っちゃうやりたい放題の印象も強いが、テーマとしてはバブル真っ只中の浮き足立った社会へ投げ掛けるアンチテーゼ。金と権力に溺れる悪をなぎ倒す正義の味方は後のドラマ『しゃぼん玉』のチンピラ医者・ポー、『RUN』の謎の易者・輪宝への人物像へと受け継がれて行く。

 

親知らず(1991年10月25日リリース シングル『しゃぼん玉』B面)

1990年の紅白歌合戦で初披露。ファンの中ではデビューから現在に至るテレビ出演の中でもベストアクトに上げるほど、緊迫感と鬼気迫る歌だった。この時の長渕はベルリン中継で3曲を歌い、「予定外の曲を披露」「大物歌手の出番がカットされた」「NHKへの出入り禁止」など、あることないこと書き立てられた。

だが、翌年NHK『音楽達人倶楽部』に出演している。2009年にNHKホールでライブを行なった長渕は「ここどこだか知ってる?NHKなんだよ、昔、“出入り禁止”なんて言われちゃってさー(笑)」と自嘲気味なMCをしている。