味覚障害を防ぐ食生活は、健康にもいい!

●いろいろ食べる
味覚障害の原因のひとつとして挙げられるのが「亜鉛」不足。人間は味蕾で基本的な味を感じとっている、ということは先ほども触れましたが、亜鉛はこの味蕾細胞の生まれ変わりと深く関わっているため、不足すると味覚障害が起こってきます。

では、「亜鉛を含む食品をたくさん食べよう」ということになるかもしれませんが、じつはこの亜鉛、肉や魚介、卵、大豆製品、緑黄色野菜、海藻、ナッツ類、雑穀…と比較的多くの食品に含まれているため、普通に何でも食べる食生活を送っていれば、それほど神経質にならずとも大丈夫、なはずなんです。

逆に気をつけたいのが、野菜や果物だけを食べるような極度なダイエットやインスタント食品の摂り過ぎなど、食生活の偏り。ある種の食品添加物のほか、天然の食材にも亜鉛の吸収を妨げるものがあるので、特定のものに固執せず、まんべんなく食べるのが無難といえます。

●シンプルに食べる
まずはホッカホカの白ごはんをひと口。反射的に何らかの味をつけたくなってしまう生野菜や納豆や豆腐なども、ひとまずありのままよく噛んで食べてみましょう。すると噛むほどに食材そのものの味が感じられるようになり、味覚も鍛えられます。

忙しいとつい食べるスピードが早くなり、流し込むように食べがちですが、“味”に集中しながら食べると、今まで見過ごしていた奥深い味わいに気づくことも。感覚を研ぎ澄まし、ソムリエ気分でいろいろな“味”を感じながら食べてみては?

ちなみに味の濃いものは噛めば噛むほど味が薄くなり、どちらかというとまずくなるため、無意識のうちに噛まずに食べたり、適当なところで噛むのをやめる、といった弊害が起こります。そういった意味でも薄味に慣れることは大切です。“引き算の味つけ”をおすすめします。

●硬いものを食べる
味覚障害の人の多くが、唾液の分泌量が少ない傾向にあるそうです。唾液を出すためには、やはりよく噛む必要があります。

ところで、現代の日本人は、「昔と比べて噛まなくなった」「噛めなくなった」と言われています。それは、食生活の変化と大きく関係しています。昭和初期頃に比べて、現代型の食事では噛む回数・時間ともに半分程度になっています。
(出典『よく噛んで食べる 忘れられた究極の健康法』斎藤滋/NHK出版)

つまり、軟らかい食べ物が増えたため、噛む必要がなくなっているのです。そこで、よく噛むためには、野菜や海草、魚、豆など“よく噛まないと飲み込めないもの”を選ぶのがポイント。よく噛むことで脳が活性化し、食欲を抑えられ、肥満や老化の防止にもつながり…とそのメリットを強調しつつ、みんなで楽しくモグモグモグ。大人がモグモグしていれば、子どももモグモグ…とちゃんとマネするはずです。