「およそ3割の子どもが『味覚』を正しく認識できない」…そんな最近のニュースに思わずドキリとされた方も多いのではないでしょうか? 「塩味」「甘味」「酸味」「苦味」の4つの味のうち、いずれかの味覚を正しく認識できない子どもが全体の約30%、そして21%が「酸味」を認識できなかった、といいます(出典 NHK NEWS WEB)。

本来子どもは味覚に敏感です。赤ちゃんの時にはすでに、甘味や塩味、うま味といった味を感じとることができ、酸味や苦味に対しては拒否反応を示すことが知られています。人間にはもともと、本能的に腐敗や毒から身を守るスゴイ能力が備わっているのです。

ところが、酸味や苦味を認識できないとなると、どうやって危険を感知するのでしょうか? 気になる「味覚障害」とその防ぎ方をまとめてみました。
 

なぜ起こる?「味覚障害」

舌の表面でさまざまな味を感じとっている「味蕾(みらい)」。この味蕾の数は、生後から20歳代まで増え続け、その後徐々に減っていくと言われています。高齢者においては、じつに1/3以上の人に味覚障害の傾向がみられる、という調査結果もあるようです。

しかし、今や味覚障害は高齢者だけでなく10代、20代にも広がりをみせています。その原因はさまざまなことが言われていますが、亜鉛不足や薬の副作用、口腔乾燥症(ドライマウス)によるもの、心的要因、タバコや刺激物などもその一因とされています。

また、よく指摘されるのが、味の濃い加工食品や人工甘味料を使った飲み物などの摂り過ぎです。
 

悪循環を生む“濃厚な味”“強い甘み”

ファストフードやスナック菓子などのように、口に入れた瞬間に味がはっきりとわかる濃い味のものを食べ続けていると、だんだん味覚が鈍ってくる、という指摘はかなり以前の段階からありました。

コロッケにソース、唐揚げにマヨネーズ、ウインナーにケチャップ…。濃厚なソースで味つけされたものは食べた瞬間に「おいしい」と感じますが、塩味などで調味されたものにさらにソースを加えることになりますから、塩分や糖分や油分もたっぷりプラスされています。

濃厚な味のものを食べると、当然ながら喉が渇きます。そうすると飲みたくなるのが、ゴクゴク流し込むように飲める清涼飲料水。

これらの飲料に使われる人工甘味料にも問題があります。人工甘味料は砂糖よりも強い甘みを持っているのが特徴で、例えば「アスパルテーム」は普通の砂糖の160~220倍、「スクラロース」は600倍、そして「ネオテーム」にいたっては約7000~13000倍もの甘みがあるとか。

味覚は刺激に慣れやすいため、普段から甘みの強いものを食べていると味蕾の機能が鈍り、果物など自然の甘味を感じられなくなってしまうそう。より強い甘味を求めるようになってしまうのです。
(出典:『カロリーゼロにだまされるな 本当は怖い人口甘味料の裏側』大西睦子/ダイヤモンド社)

また、人工甘味料や味の濃い食品は脳内の快楽中枢を刺激するため、摂取し続けるとそれに依存するようになります。それは覚せい剤やアルコール依存などと同種のもの。薄い味に満足できなくなると、さらに味覚が鈍って味の濃いものを食べたくなり、ついには毎日“マイ塩”“マイ調味料”を持ち歩き、せっせと料理にふりかけ…。そうなってしまうと健康への影響が心配です。

そんな悪循環に陥らないようにするためには、どうすればよいのでしょうか?