市場の役割と豊洲移転についてお勉強

メインステージでは、卸売市場の機能や役割を、都民の方々に再発見・再認識してもらうためのプロジェクト「TOKYO ICHBA PROJECT」のイベント「いちばみらい会議」が開催されていました。

さて、築地市場といえば、2017年に豊洲への移転が決定しています。約80年に渡り親しまれてきた築地市場は、新しい場所で生まれ変わることになります。

東京都中央卸売市場管理課の北島課長によると、「より新鮮で安全な食品を皆様にお届けするため」ということ。築地市場は老朽化が進んでいます。また、屋外で食品を扱っているため、食品の品質管理にとても気を使う必要があるとのこと。

しかも最近は、鮮魚や野菜をそのまま売るだけではなく、魚を切り身にしたり、カット野菜にするなど、加工することも多くなっています。現在の築地市場では、食品の加工をするための施設を増設するスペースがなく、加工のために別な場所に食品を運搬しなければならず、鮮度の管理問題や時間のロスなどが生じます。

これらを解消するための豊洲移転。豊洲の新市場は、現在の築地市場の約1.7倍。卸、仲卸、青果の3つのエリアに区切られ、それぞれが大きな建物内に収められます。築地市場と違い、建物内に配置されることで、食品の鮮度や安全管理のレベルが格段にアップするそうです。

もちろん、加工施設も併設されます。これにより、より鮮度の高いものを消費者に届けることが可能になるのです。

豊洲のエリアは、土壌汚染の心配がありますが、そのあたりも万全の準備をしているそう。敷地内を地下2mまで掘り返し、土壌をすべて入れ替えています。その上にさらに2mの盛り土をしてコンクリートで固めているため、汚染レベルはほぼゼロ。2017年の移転に向けて、着々と準備は進められています。

 

豊洲移転への期待が語られたパネルディスカッション

お次は市場関係者とパネリストによる、パネルディスカッション。市場がどのような役割を果たしているのか、そして豊洲移転でどのように変わっていくのか。熱い議論がかわされました。

 

漫画家、タレント、コメンテーターのやくみつる氏:「築地市場は歴史があり、気軽に足を踏み入れてはいけない結界を感じる。雑然としているなかにも、プロの使用に耐えられるようにシステム化されているところがすごい。豊洲の新市場はピカピカでスタートしますが、早く市場の方々の導線を作ってカオスになってくれればと思います」

 

祖父の代から魚介類の卸を営む東都水産株式会社代表取締役社長 関本吉成氏:「時代が変わっても、場所が変わっても魚河岸の役目は変わらない。これまで受け継いできた伝統を豊洲にも引き継いでいきたいと思います」

 

魚介類の仲卸を営む第一水産株式会社取締役営業本部長 斎藤耕平氏:「先輩方が作り上げたもの、よき伝統を受け継いで、我々は成長してきました。まだまだ成長中の築地で働いている我々は、若者の力で盛り上げていく必要がある。伝統と新しい力のコラボーレーションで、豊洲だからできることをやっていきたい」

 

青果の卸を営む東京シティ青果株式会社代表取締役社長 鈴木敏行氏:「豊洲移転に伴い、これまで以上に鮮度の高いものを提供できるようになります。築地ブランドを受け継ぎ、魚介類や青果の提供だけでなく、文化の発信基地としても期待しています」

 

おさかなマイスターの資格をもつおさかな普及活動を行うグループ ウギャル(Lie氏、伊藤三穂氏、おかゆ氏):「築地市場の活気をそのまま豊洲にも持っていってもらいたいですね。昔ながらのやり方はもちろん、どんな新しいことが始まるのかも楽しみにしています」

豊洲への移転は、皆さんが大きな期待をもっている様子。これを機に今まで以上に鮮度の高い、おいしい魚介類や野菜を提供していただきたいと思います。